東京地方の木枯らし1号、今年はどうなる?

近畿地方では過去の観測から最も早い日と同じ10月23日に「木枯らし1号」が吹いたと発表されました。この日(10月23日)は二十四節気の「霜降(そうこう)」に入る日(2020年)で、冬の便りが届く日としてまさにぴったり!な日でした。近畿地方では1992年以外、ほぼ毎年のように木枯らし1号が吹いたと発表されていますが、東京地方では1951年の観測開始以来、1959年、1962年、1977年、1979年と、2018年・2019年の2年連続で、木枯らし1号は「発生せず」となっています。(2019年12月 気象庁調べ)

■そもそも木枯らし1号とは?

気象庁天気相談所が作成した資料によると、木枯らし1号について以下のように書いてあります。

1 期間は10月半ばから11月末までの間に限る
2 気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと
3 東京における風向が西北西~北である
4 東京における最大風速が、おおむね風力5(風速8m/s)以上である (ただし、お知らせには最大瞬間風速を記入する)

木枯らし1号が発表された日、近畿地方では各地で10m/s 以上のやや強い風が観測されています。こうした強い風によって災害の可能性がある場合には注意報や警報も発表し、警戒を呼びかけたり促したりされます。


■木枯らし1号は東京と近畿のみ

木枯らし1号の記録は「東京」と「大阪」しかありません。他のどんな地方で上記の条件が揃っている風が吹いたとしても「木枯らし1号」として発表されることはありません。それはなぜ?とあちこち調べたところ、次のようなことがわかりました。

① 気象庁ではもともと「木枯らし1号」は扱っておらず、マスコミからのリクエストで発表がスタートしたとのこと。気象庁でやってなかった=つまり「これ」という明確な判断基準も設定されておらず、発表が始まった当時は天気図で判断していたそうです。

② 上記に書いたような「定義」は、代々受け継がれて徐々に設定された。…というもので、過去をたどることができる記録が東京と近畿(大阪)にしかなく、だから今のこのような状況になっている。

③ 木枯らしに関する体感は人によって違うので、基準を設定するのがとても難しく、気象関連各所の方々も胃の痛い思いをしていらっしゃるとか。

10月末現在、今年は台風が1つも上陸していませんが、現在発生している台風20号の進路はとても気になるところです。木枯らし1号が吹く時期になったということは、冬の訪れも間近。今年は新型コロナウイルス蔓延で未曾有の状況になっておりますが、皆さまどうか体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。

(コラム担当・F)

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