死んだふりはNG!? 絶対避けたい「クマとの遭遇」こんな時間帯には気をつけて!

日本の各地でクマ(ツキノワグマ)の目撃情報が報道されています。クマと遭遇するといえば、山間部じゃないの?と思っている方が多いと思いますが、東京都でも目撃されているのです!今回はクマの情報を発信している奥多摩ビジターセンターの大野さんに、その真相やクマの注意点について伺いました。

奥多摩ビジターセンター・大野さん

――今年はクマの目撃情報が多いように感じるのですが?

クマ自体は、今年の特徴としては標高300〜400mの、比較的低い場所でも目撃されていることがありますね。

――「2019年 奥多摩ツキノワグマ目撃情報一覧」を拝見したのですが、結構な数ですよね?

この数については、住民や登山者が目撃して奥多摩ビジターセンターに通報があったものを掲載しています。同じクマを数人の方が見ている、ということもあるかもしれません。ですので、クマの数が増えたということに直結する数字ではないんです。

ビジターセンターに情報提供をして下さる人が増えたとも考えられますが、クマの出現している場所を考えると人とクマの接触機会が増えている、人とクマの生活エリアが近くなっている、と捉えていただいた方がよいと思います。

――クマの出現の時期などの変化もあるのでしょうか?

1年間を通して、クマの目撃されるシーズンが早まった、ということはないです。一般的にクマの活動時期に合わせて目撃者数が増えていった感じになります。

――気象条件ではいかがでしょうか? クマが動きやすい天候などはありますか?

クマ自体が、人を察知しづらい状態になるときですね。クマは嗅覚がするどいのですが、霧が発生するとそれが鈍りやすくなります。霧の時は視界も悪くなるので、人もクマもお互いに気づきにくい。とするとバッタリ鉢合わせてしまう可能性が高くなってしまいます。朝や夕方など、霧が立ち込めている時間帯や、雨のときは出会いやすい気象条件といえるかもしれません。雨が降ると視界も悪くなりますし、雨音もありますしね。

―― 他に接触しやすい条件などがあれば教えてください。

よく目撃される場所としては沢沿い(川原)などですね。雨音もそうですが、水の流れる音で、聴覚が少し邪魔をされるため、人の気配を感じにくい状況になると思われます。

――これから紅葉なども始まってまさにアウトドアのシーズンですが、もし万が一クマに遭遇してしまったら、どうすればよいのでしょう?

遭遇した時の、クマとの距離によって対処は変わってきます。

■遠い場合(数十メートル先)
・まずは落ち着く
・写真は撮らない
・声を出さない、走らない
・後ずさりして静かに離れる
(この時、背中は見せない)

■気配を感じたら(数メートル以内)
・まず落ち着く
・遠い場合と同じ対応
・クマとの間に木があれば、それに隠れながら離れる
・持ち物はその場に置いて離れる

■鉢合わせしてしまったら
・人に驚いて攻撃してくる可能性も
・クマの方が驚いて逃げることもある
・冷静に慌てずゆっくり離れる

■攻撃してきたら
・頭、首、腹を守る姿勢をとる
・通常、クマは攻撃をすぐにやめるので、その時は
*抵抗しない!(抵抗するとしつこく攻撃してくる)

―― クマって攻撃をすぐやめるんですか?

…とは言われていますが、人馴れしてしまっていて執拗に攻撃してくるクマもいますので、その時は闘うしかありません。今のところ、奥多摩でそういった情報はありませんが、また、最悪クマと闘わなくてはならなくなった場合など、いろいろなことを想定すると「単独行動をしない」ということも大事です。

それから、よく「死んだふり」をするのがよいと言われていますが、あれは効果がないばかりかかえって危険ですので、絶対にやらないようにしてください。

クマもできれば人とは遭遇したくないですので、人が「ここにいるよ」とクマに知らせることも必要ですね。昔から使われているクマ鈴、ラジオをつけて歩くなど、基本的なことを実行していただくとよいですね。

それから、クマの目撃情報を寄せられる方の多くが単独行動です。先ほども申しましたが、複数人で会話をしながら登山やハイキングされるほうがよいですね。その方がいざというときの対応もしやすいですし。

写真提供:奥多摩ビジターセンター

また、クマに関する情報を事前に入手することも重要です。こちら(リンク)でも情報を公開していますが、より詳細な情報に関しては直接お電話をいただけるとご案内できますので是非ご利用ください。
奥多摩ビジターセンター 0428-83-2037


クマも人とは遭遇したくない…そうですよね。人は人主体で考えますが、クマにだって生活もあるし、クマ主体で考えることも大事。お互いにうまく折り合いをつけながら共存していけることが理想ですね。次回はツキノワグマとの関係についてももう少し詳しくお聞きしたいと思います。大野さん、ありがとうございます!

取材協力:奥多摩ビジターセンター

(アール)

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