17時前には陽が沈み、これから冬至(12月21日)に向けてますます昼の時間が短くなっていきます。初氷や初冠雪、初雪と冬の到来を知らせるニュースが毎日のように報告されて、肌感覚としても「冬」を感じる日が増えてきました。
冬のサインは身近なことだけでなく「空」からも届いています。今日は衛星画像に見る冬についてお伝えしたいと思います。まずはこちらの画像をご覧ください。
これは2020年11月10日 10:00 の衛星画像です。画像の赤丸の部分「うず巻き」と、黄丸の部分「スジ状の雲」、これらがまさに冬のサインですが、少しわかりにくいので、過去の衛星画像でもっとこの現象がわかりやすいものを例に解説します。
■うず巻きは台風だけじゃない!
先日、くるくると渦を巻いた気象衛星画像が話題になりました。台風の季節には大きな渦を巻いた雲が表示され「台風の目がはっきり見えますね」なんてコメントをよく耳にします。でも渦を巻いているのは台風だけではないんです。くるくるっと回った渦のようなもの、これは「カルマン渦」です。
カルマン渦は冬季に見られる現象で、このような形になるにはいくつか条件がありますが、ポイントは「突起物」です。雲は高さと形状で区別され、それぞれに名前がついています(十種雲形)が、カルマン渦は比較的高度の低い層積雲で構成されます。
層積雲が一定の風向き・比較的強い風によって流れている最中に、ボコッと飛び出た山などがあると、その後方に渦を巻いた列ができていく、というものです。屋久島や済州(チェジュ)島のような、ある程度高度のある山をもつ島の付近で起きる現象です。
■カルマン渦が発生する条件
・比較的強い風が一定の方向に長時間吹いていること。
・シベリアからの寒気が強すぎないこと。
・広い海の中に、突き出た山岳を持つ島があること
■ヒダヒダっと見えるスジ状の雲が出たら、寒い!
もうひとつ、典型的な冬型の気圧配置で発生するのが「ベナール型対流」です。シベリアから冷たい寒気が流れてくると日本海などの上空でベナール型対流が発生し、冬型の気圧配置がさらに強まると風が強く吹いてベナール型対流によって発生した雲が流され、スジのような形に見えます。
「ベナール型対流」については、お味噌汁で説明するとわかりやすいかもしれません。熱々のお味噌汁、熱いからちょっと待とう…と少し放っておいたら、あれ?こんなことに、って経験ありませんか?
これが
↓
こんなふうに
お味噌汁の表面が寒い空気に触れて冷めていくことで、汁椀の中で「対流」がおこり、こんな状態に見えているのです。こういった現象のことを「ベナール型対流」といいます。これと同じ現象が上空でも起こっています。ベナール型対流が起こっているときの上空からの様子が下図。流された雲が筋のようになっている様子、おわかりいただけますでしょうか。
このスジ状の雲がシベリア大陸に近ければ近いほど「強い寒気」ということになりますので、気象衛星画像でこの現象を見つけたら、大陸からの距離(離岸距離といいます)に要注意!
■スジ状の雲が発生する重要な条件
・シベリアから強い寒気がおりてくること(海水温との温度差が大きいこと)
・冬型の気圧配置で、北よりの風が強く吹いていること
■ ラニーニャ現象でとても寒い冬になる!?
先日、ラニーニャ現象の発生をお伝えしました(「ラニーニャ現象発生〜 2020年は厳しい冬になる?」)が、この現象がさらに強まったとの報告もあります。いずれにしましてもこれからますます寒くなりますので、しっかり防寒対策を!
(コラム担当・F)