重要なのは気温よりも湿度!? 熱中症にならずに過ごすには

梅雨明けから一気に気温上昇・猛暑がいきなりやってきました。厚生労働省の発表によると、2019年に熱中症で亡くなった人は1,100人以上、消防庁の報告によると、熱中症で救急搬送された人は2018年に9万5000人以上でした。ちなみに2018年より以前(2010〜2017年)5万人前後で推移していたとのことで、一気に2倍近くになったといえます。

既に一部の地域で試用が始まっている「熱中症警戒アラート」と、熱中症対策・予防に必要な情報「暑さ指数(WBGT)」についてまとめます。(コロナ禍における熱中症対策については「マスク着用が常識の新しい生活様式で、どうする?熱中症対策」もご参照ください。)

■気温だけじゃない!暑さ指数には3つの要素がある

暑さ指数(WBGT)(湿球黒球温度)は、人間の身体の熱バランスに大きく影響する湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)、気温の3つを取り入れた指標のこと。輻射熱とは、地面や建物、身体から出る熱のことで、温度が高い物ほど多く出ます。このうち、一番大きな影響を与えるのは「湿度」(7割)、次に輻射・日射など周辺の熱環境(2割)、そして気温(1割)となっています。

気温が一番じゃない?と驚くかもしれませんが、これには「発汗」が関係しています。人間の身体は、汗をかくことで体温調節を行なっています。湿度が高くなると汗が蒸発しづらくなり、体温調整の機能が低下する=熱中症になりやすくなります。

■熱中症警戒アラートとは

暑さへの「気づき」を呼びかけて予防行動をうながす情報で、熱中症の危険性が極めて高い環境が予想される場合は、その前日の夕方または当日の早朝に発表されます。

※令和2年7~10 月は東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県のみ、「高温注意情報」の発表基準を暑さ指数に換え「熱中症警戒アラート(試行)」として先行実施する。
※関東甲信地方以外については従来の気温を基準とした高温注意情報を継続する。

■具体的にはどうすればいい?

暑さ指数が28℃を超えると、なにをしていても熱中症にかかるリスクが高くなります。熱中症警戒アラートの発令時、もしくは暑さ指数が28℃を超えるときの外出・運動は中止しましょう。

暑さ指数(参考:環境省HP)

やむを得ない事情でどうしても外出しなければならない場合は、以下のような点に留意してください。

・帽子や日傘を利用し、直射日光を浴びない
・無理をせず、木陰などを見つけて休憩する
・こまめに水分(経口補水液など)を補給する
・濡れたハンカチ・手拭いなどを持ち歩く
・涼しい服装(通気性のよい素材など)を選ぶ

睡眠不足や栄養不足も熱中症のリスクを高めます。日頃からしっかりと休養・栄養をとるよう心がけてください。

■応急手当について

熱中症は生命の危険をともないます。少しでも熱中症が疑われた場合は、すぐに応急手当をします。
・衣服を緩める
・風通りの良い日陰や冷房の効いた場所へ移動
・汗をかいていない場合は、濡れたタオルなどで皮膚を濡らして扇風機などで風をあてる
・近くに太い血管が通っている場所:脇の下や首・脚のつけ根に冷たいもの(保冷剤など)をあてて冷やす→具体的な冷やす場所はこちら熱中症に気をつけて!~カラダを冷やす場所を知っておこう~

今年はとくに梅雨の期間が長く、身体が暑さに慣れていないところにいきなりの猛暑到来で、普段よりさらに熱中症のリスクが高まる要素が多いです。どうか、日頃から規則正しい生活を心がけ、熱中症には充分警戒してください。

(防災士/応急手当普及員 アール)

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