【花火の粋】まさかの取材拒否!? 二大花火屋が語る「隅田川花火大会」

東京の夏の風物詩「隅田川花火大会」に関わる多くの方々を取材させていただく特集、今回は、隅田川花火大会の打ち上げを担っていらっしゃる花火屋さんのお話を伺いました。第41回の今年、第一会場を担当される株式会社ホソヤエンタープライズ・細谷圭二さん、第二会場を担当される株式会社丸玉屋小勝煙火店・小勝(おがつ)康平さんのお二人です。

細谷圭二さん

小勝康平さん


■花火師が「見どころ」を口にするのは粋じゃない

―― 今年、2018年の隅田川花火大会はどんな感じになるのでしょう?見どころを教えてください。

細谷さん:花火の見どころなんて、教えるわけにはいかないよ。企業秘密ってもんよ。

―― ええ!もしかして「取材NG」になりますか?

細谷さん:(笑い)いやいや、そうじゃなくてね。それは「粋じゃない」ということなんです。これはもう当日のお楽しみにしてください。
ただ、花火には「起承転結」がありますので、我々花火屋の気持ちとしては、最初から最後まで全部観ていただきたいなと思いますね。

毎年、花火師の感性で作り上げていく物語なんですよ。文章や他の芸術作品と同じように。

隅田川の花火は川にも反映し、ビルにも反映し、2万発が倍の4万発分、楽しめると思いますよ。そういった「情景すべて」を観に来ていただけたらと思いますね。

写真:墨田区

また、この40年間ずっと隅田川花火を放送してくださっているテレビ東京さんは、花火を映すのが実に巧いんです。ピカイチです。現場に観に来ても欲しいし、テレビでも楽しんでいただけること、間違いなしですね。

■四季を感じ、自然を愛でて花火がうまれる

―― なるほど。「起承転結」に関して、日ごろどのようなことで感性を磨かれているのでしょうか。

小勝さん:うちの会社でもよく話しますが、月並みかもしれませんけれど、季節の花を見て心を動かされる瞬間とか、ですかね。
もちろん、映画を観たり本を読んだりもしますよ。世界中の花火をインターネットで見ることもできるので、外国にはこんな花火があるんだな、と勉強になったりします。そういう意味では、本当に常に頭の片隅で花火のことを絶え間なく考えています。

細谷さん:おかげさまで今まで「花火は大嫌い」という人に会ったことはないですが、老若男女、すべての人に楽しんでいただけるよう、皆さんを飽きさせないよう考えに考え抜いて構成します。

―― 新作花火はどのように開発されるのでしょう?

細谷さん:それこそ企業秘密だから、あまり詳しいことは言えないなあ。(笑い)いま、小勝さんがおっしゃったように、感動した・美しいと思った花に例えたりね。「牡丹」「菊」など、耳にされたことがあると思いますが、同じ呼び名の花火でも、毎年少しずつ違うんです。


写真:台東区

作物と同じでね、メロンだってお米だって、今年は出来がどうの、糖度が高い低い、ってあるじゃないですか。天候などの気象条件によってだけでなく、いわゆる「出来不出来」があるんです。

花火の表情も毎年違いますし、もちろんそれを作った人(メーカー)によって色も開きも違います。だから「今年の花火」を観ていただきたいですね。

隅田川花火大会に関わってくださっている花火業者は全部で10社です。我々にしてみると自分以外の9社がライバルです。隅田川花火大会でコンクールもありますし、小勝さんとうちにしてみると、この花火大会を担当させて頂いているので、なんとしても優勝しなきゃいけないと。

小勝さん:本当にそうですね。

細谷さん:我々は危機感があるわけです。他の競技会でも散々揉まれていますが、やっぱり「隅田川花火大会のコンクールで優勝しなくちゃいけない使命」があるのでね。

隅田川花火大会のコンクールは1社につき20発の勝負です。5号玉が5発、そのワンサイズ下の4号玉が15発。打ち上げた花火の内容とタイトルのイメージが合っているのはもちろんのこと、隅田川とマッチしていないと良い成績にはなりません。

■小さな花火こそ、花火師の技の見せどころ

―― プログラムを決めるときは、タイトルが先なんですか?それとも花火が先ですか?

細谷さん:うーん、こればっかりは、各社センスですからね。あとは、他業者さんとダブっちゃいけないっていうのもあって。もちろん、タイトルや内容的にしても、他がどんなのを出してくるか、お互い気にしなくちゃいけないんです。

また、隅田川花火大会はサイズが小さな花火しか上げられないので、花火屋泣かせなんですよ。容積が大きいと工夫もしやすいんですが、直径12cmや15cmのちっちゃな玉で細工するのが花火師の腕の見せどころだな!!

写真:墨田区

―― 出来については試し打ちなどもされるのですか?

細谷さん:隅田川は、毎年大体梅雨明けしてすぐの花火大会ですからね、そんな時間は殆どなくて、テストなんてしようがありません。それにこの時期に試し打ちしてイメージ通りに出ないからって、手直しは出来ないですからね。

―― 時間的にも気持ち的にもかなり切迫した中で作業をなさっているんですね。そうすると、花火を見られる方にどんな見方をしてほしいですか?

小勝さん:そこに関しては人それぞれだと思います。例えばビールを飲みながら、花火を観ているんだか観ていないんだか…という方もいらっしゃるかもしれません。でも、そういう時間を楽しんでいる人もいるし、方やカメラ片手に瞬きも惜しんで観ている方も。

すごく凝った花火を作って、それを一生懸命観てくださる人がいれば花火屋としてとても嬉しいですが、飲みながらでも「きれいだな」と思ってくだされば、それだけで僕は満足です。でも中には、最初から最後までしっかり観てくれなきゃ嫌だって職人さんもいらっしゃると思います。それこそ、花火屋も人それぞれです。

■花火師が一生に一度でいいから、花火大会の日にやってみたいこと

―― 花火の鑑賞法について、他になにかアドバイスはありませんか?

小勝さん:皆さんから一番聞かれるのが「どこが穴場ですか?」ですが、我々は現場に入っているので、さっぱりわからないんですよ。

細谷さん:本当によく聞かれますね、それ。いや、こちらとしては死ぬまでに一度でいいから、屋形船でゆっくり花火を観てみたいですよ。…いや、ゆっくり観てなんていられないと思うけど(笑い)。

花火大会が終わって、我々が荷物を積んで引き上げるのは23時頃ですが、ふと顔を向けると川沿いのマンションのベランダから、キラキラと光が揺れているのが見えましてね、小さなお子さんがペンライトを振って感謝の気持ちを伝えてくれるんですよ。

それで私たちは、仕掛け花火につかうランスという名の手持ち花火を振って、お返しするんです。

花火大会の終了後にもそんなドラマがあったんですね。川面やビルに映る花火も楽しむ…今年の花火がますます楽しみになりました。2018年「第41回」隅田川花火大会では、どのような物語を空に咲かせてくださるのでしょうか。細谷さん、小勝さん、ありがとうございました。

取材協力
株式会社ホソヤエンタープライズ 細谷圭二さん
http://www.hosoya-hanabi.co.jp/
株式会社丸玉屋小勝煙火店 小勝康平さん
http://www.mof.co.jp/


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ABOUTこの記事をかいた人

「プリンセス」という称号がマッチする麗しいヴィジュアルと、好きなことはとことん突き詰めてモノにする芯の強さを併せもつ。絵を描くことが好きで腱鞘炎になっても描き続けた経緯あり。中学生の頃、雲に魅せられ空を眺め続けて1時間。毎朝4時起きで猛勉強し気象予報士試験に合格。