今年のさくら前線は広島からスタートしました。広島が全国に先駆けて「開花宣言の第一報」になるのは、観測史上初めてのこと。(注:さくらの種類が違う沖縄を除く)過去のデータを見てみても特に「広島が早めだな」と感じる要素はなく、まさに珍しいスタートかもしれません。
さくら(ソメイヨシノ)開花の予測については、1年を通じて起きているさまざまな現象・条件が関係します。開花を0地点とすると、春に栄養を蓄え夏に花芽が形成され、夏から秋にかけて一旦休眠に入ります。休眠からは低温刺激による「休眠打破」という期間が必要になり、花芽が成長して開花となるのです。
夏には必要な「暑さ」が必要ですし、休眠打破のためには「寒さ」も必須。今年はかなり早い開花宣言でしたが、この先さらに温暖化が進めばさくらの開花も早まるのでは?という見方は少し見当違いで、必要な「寒さ」が得られなくなればさくらの開花そのものがなくなってしまう可能性もある…なんて考えたくもないですね。
開花予測に関しては、上記のように開花から翌年の開花までの気温など諸条件と、過去の膨大な観測データからの推定などとても複雑で難しいとされています。ここ数年は観測データも精密なものですし、なんといっても技術の発達でデータの運用もしやすいですが、コンピュータやデータが揃っていない昔は蕾の重さをはかって開花予測をしていた時期もあるそうです。すごくアナログ!と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、成長の度合いを体重(重さ)ではかり知るのは、動植物の観察に欠かせない方法のひとつです。
さくらは開花前に一気に重さが増えるタイミングがあり、この日を把握すればある一定の日数が経った開花の日が予測できるとか。
開花宣言を聞くと気になるのが満開はいつ?ですよね。「三寒四温」という春先独特の気象状況を表す言葉がありますが、気温がぐっと上がったかと思うと冬に逆戻りする日もあり、空気の入れ替わりも激しく雨が降りやすい時期でもありますので、せっかくの花が雨で散ってしまうことも。まだ開花宣言があったばかりだから…とうっかりしていると、お花見のジャストタイミングを逃してしまいますので、ご注意を!
ところでさくらの「開花」と「満開」はどのような状態を言うのでしょうか。気象庁によると下記のように定義されています。
「開花日」とは、標本木で5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日
「満開日」とは、標本木で約80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日
ライフレンジャーでは以前「【お花見はいつまで?】全国のさくら、開花から満開までの日数一覧」で2013年~2017年までのさくら(ソメイヨシノ)開花日と満開日を調査しましたが、今回は2017年〜2020年までの開花から満開までを一覧表にしてみました。
さくらの季節はいつもよりもっと、気象予報から目が離せませんね。気象状況によって開花から満開までの日数は変わります。こまめにチェックして「ベストタイミング」を見逃さないようご注意ください!
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(コラム担当:F)