暑い時期は食欲が減退しがちで「冷たいものを食べたい!」と感じ、実際に冷たいものを食べる機会も増えます。冷たいものを食べると、体内は水分がたまりやすくなり、胃腸の働きが低下しやすくなります。結果、なんとなくお腹がタプタプと重く感じてさらに食欲がわかない、と感じられる方も多いかもしれません。ですが、食事は生きていく上でとても大切です。実りの季節を迎える前に「美味しく食べるためのちょっとしたコツ」についてお話したいと思います。
■ 上手に「洗う」
食材を洗うと、付着している汚れや残留物を取り除く効果があります。ということを考えると、溜めた水の中で洗うのではなく、できれば「洗い流す」感じで洗う方がより除去効果が高いと言えるでしょう。
■「浸透圧」でシャキッとorしんなり
浸透圧という言葉を覚えていらっしゃいますか? 浸透圧は「濃度が異なる2つの液体が、半透膜(水のような小さな分子は通すけれど、水に溶けている砂糖などの大きな分子は通さない膜)を介して隣り合った際、濃度を一定に保とうとして水分が濃度の薄い方から濃い方に移動する圧力」です。
きゅうりやキャベツを切って、水に浸けておくとパリッとしたりシャキシャキしますが、塩やドレッシングをかけておくとしんなりシナシナしますよね。これが浸透圧です。
メニューによって浸透圧を上手に使い、美味しい!と感じられる「食感」も少し意識してみてはいかがでしょうか。
■ 包丁の「切れ味」が美味しさを左右する!?
ご自宅の包丁、どれくらいの頻度で研いでいらっしゃいますか? 実は包丁の切れ味が食材に大きく影響しています。切れ味の悪い包丁は、食材の細胞を押しつぶして細胞内液を大量に損失させてしまいますし、見た目もちょっとガッカリな感じになってしまいますよね。包丁は小まめに研いでおくことで美味しさに大きく貢献しますし、日頃のメンテナンスも楽になります。長いこと研いでいないな〜という方は、プロにお任せしてみるのも良いかも!
■ 切るときに意識すべき「繊維」の方向
野菜など、植物には維管束(いかんそく)という管が通っています。これは、土中から吸い上げた水分や栄養素を運ぶ、人間でいうと血管のような役割をするもの。これらが束(たば)になったものが繊維です。繊維を残すか、切断するかで歯応えや食べやすさが変わります。
消化や食べやすさを考えるなら切断、つまり繊維を短く(横切り)。歯応えを重視するなら繊維を長く(縦切り)。
肉や魚の場合、繊維は筋肉の繊維です。これは切断して短くしたほうが食べやすく、加熱による縮みも抑えられますね。
■ 美味しく食べる適温を知る
「重口の赤ワインの適温は16〜18度くらい」なんて言葉、ドラマやグルメ番組などでも耳にしますよね。食べ物や飲み物には「適温」があります。もちろん、「味覚」そのものも温度に大きく影響を受けます。例えば「塩味」は温度が低いほど強く感じ、「甘味」は35度前後が一番強く感じ、この温度から高過ぎたり低過ぎたりするとどんどん感じ方が薄れます。ただ、同じ「甘味」でもフルーツなどに多く含まれる「果糖」は低い温度の方が強く感じられます。例外は「酸味」で、これは温度にあまり影響されません。
火傷をしないことが前提ですが、例えば温かい食べ物だと60〜70度くらい、冷たい食べ物は5〜12度くらいが、美味しく感じられる適温とされています。
いかがでしょうか。「美味しい」と感じられて満足感を得られると、食べ過ぎ防止にもつながります。調理をするとき・食べるときに、ちょっとしたことを意識して気をつけることで「美味しい」と感じられることが少しでも増えたらよいですね。
(健康管理士・アール)