【防災特集】遊び道具にストレス解消に。防災に役立つ風呂敷七変化!

普段はあまり馴染みがないという方が多いかもしれませんが、「風呂敷」がかなり万能だというお話を伺ってきました。2020年2月に開催された「防災に関する都民シンポジウム 家族と地域を守る 〜『今』できる備えを考えよう〜」では参加者に「防災風呂敷」が配布されました。小池都知事も「風呂敷は役に立つ!」と大絶賛。そこで今回は「防災と風呂敷」についてご紹介します。

具体的に「防災」のどんな場面で風呂敷を活用すればよいのでしょうか。お話を伺うのは、前回(「【防災特集】布一枚が多彩に変貌、日常生活にもエコにも防災にも!」)に続いて日本風呂敷協会・大工原智子(だいくはら さとこ)さんです。

大工原智子さん

■「ふろしき防災BOOK」はどのような経緯で発行されたのでしょう?

風呂敷はかなり用途が広いということをお話しましたが、防災の観点からもさまざまな場面で活用できると思い、書籍にまとめたものがこちらの「ふろしき防災BOOK」です。

「ふろしき防災BOOK」発行:日本風呂敷協会

図を多くして、使用できるシーンにおいての実際の使い方が伝わりやすいように構成しています。風呂敷はシンプルな1枚の布ですが、工夫次第で便利な道具として活用できることがわかって頂けるのではないかなと思います。

また、防災としてだけでなく、風呂敷は現代の生活の中でも便利に使うことができます。使い慣れてくると、書籍にも掲載されていない、さらに便利な活用法が生まれていくのが良いところです。風呂敷を使うことになじみが無く、難しそうに感じるかもしれませんが、決して敷居の高いものではなく、きちんと結ぶことができれば誰でも使用できるものなのです。正しく結ぶことができると、ほとんどの包み方ができるようになりますよ。

■基本の結び方を教えてください!

基本の結び方は「真結び(まむすび)」といいます。気をつけるのは、いわゆる「たて結び」にならないことです。「真結び」は1回目と2回目で布の掛かる方向が異なる結び方です。

結ぶとほどけにくくほどきやすい、最も実用的な結びです。「たて結び」は同じ方向に布が重なっていて、一定の力には弱いのでほどけやすく、締まりすぎるとほどきにくくなる結び方です。風呂敷で結ぶ場合は必ず「真結び」を意識することが大切です。それでは手順をご紹介します。


「真結び」の結び方

1:左側BをAに重ねて交差させる↓

2:BをAに被せるように巻く↓

3:Bを左に向け、Aをたてに引く↓

4:AをBにかぶせ、Bを持っている右手の中指と薬指ではさむ↓

5:(4)ではさんだ指を引き抜き、AをBの輪に通して結ぶ↓

6:左右に引いて整える↓

図のように結び目の色が違う布で練習するとわかりやすいと思います。慣れるまでは確認しながら・・・になるかもしれませんが、何回か練習するとすぐにできるようになります。


「ふろしき防災BOOK」では、最初に「すいか包み」「ひっかけ包み」「シンブルバッグ」という、基本の3つの包み方をご紹介しています。

「すいか包み」は、大きさや形が不揃いのものをまとめるのに便利で買い物のエコバッグ代わりになります。「ひっかけ包み」は旅行に行くときに荷物を仕分けするときに便利です。「シンプルバッグ」は持ちやすい形ですので、普段の買い物でお使いいただくと良いですね。この3つはとても簡単ですので、まずはこれらの基本をマスターしておいていただけると、大体どんな用途にも応用が効きます。あとはどこを結ぶか、どの素材・サイズを選ぶか、というだけです。

■きっかけは「東日本大震災」だったそうですね

「東日本大震災」が発生したとき、風呂敷業界では震災のあった地域に風呂敷を寄贈しました。そのときに「何もものがない中、布をいろんな形で使ってすごく便利だった」と感謝の声をいただきました。

以前は風呂敷については環境に優しいなど、いろいろなPRをしてきましたが、一枚で用途が多様であること、災害時にも活用いただける術をきちんとお伝えしたいと思い、一冊の本にまとめる企画が立ち上がりました。

特徴的なのは避難所でお子さんが遊びに困った、運動不足で身体のあちこちがこってしまった、ストレスがたまった…という声も多くあり、それらを風呂敷でどのように解決ができるか、実際にあれこれ試しながら内容に盛り込んだところです。日頃から結び方や使い方についてはワークショップなどでもお伝えしていますが、医療に関する知識はないので、その方面のエキスパートにも監修いただいて2018年9月1日「防災の日」に発行することができました。

■防災で使う場合のオススメの風呂敷は?

多用途に一番応用が効くのは綿の風呂敷です。それも新品ではなく、使い込んで洗濯して馴染んでいるものの方が、結びやすくて包みやすいです。新しいものはのりが効いて少し硬いですからね。普段の生活にも是非、風呂敷を取り入れていただけたらと思います。

「ふろしき防災BOOK」では、防災シーン別に下記のような5つの項目を立て、それぞれ具体的な活用法と風呂敷の使い方を、わかりやすくイラストで解説しています。

・身を守り、逃げるとき
・物や人を運ぶとき
・けがや病気に対応
・避難所での暮らし
・ストレス回避に

いざというときに、バッグの中に風呂敷が一枚あれば本当にいろいろなことに使っていただけると思いますよ。


カラフルな風呂敷を広げると、気持ちも明るくなりそうです。和服だけでなく、洋服に似合うデザインや、デニム素材のユニークな風呂敷まで、本当にいろいろな素材やデザインがあるんですね。

ちなみに前回(「【防災特集】布一枚が多彩に変貌、日常生活にもエコにも防災にも!」)でもご紹介しましたが、大きさの目安一覧はこちら。

今年はぜひ「風呂敷を一枚」、そして「真結び」はマスターしておきたいですね!大工原さん、ありがとうございました。

取材協力:
日本風呂敷協会
http://www.japan-furoshiki.jp
風呂敷専門店 唐草屋
http://www.karakusaya.co.jp/tokyo.html

(防災士・アール)

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