マスクメロンが美味しく育つには「夏は夏らしく、冬は冬らしく」が重要!?

千葉県東金市のふるさと納税お礼品のラインナップにもある、高級温室メロンを栽培して40年以上。マスクメロンの達人としても名高い戸田メロン園・戸田稔さんに、気になる「天気とメロン栽培の関係」について伺いました!

戸田メロン園・戸田稔さん

① お仕事の中で天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします。

5よりも上であることは間違いないですね。なにしろ天気で動いているようなもんだから。

② 天気について、何を・一番・どのタイミングで、知りたいですか?

太陽が出るか出ないか、それと気温を知りたいですね。タイミング・・・温室栽培のメロンで一年中やってますからね、このタイミング、っていうよりも、常時チェックしている感じです。そりゃあ、ず~っと晴れの予報で天気が安定しているときはそれほど気にしませんけれど。

今ぐらいの時期(取材時・5月半ば)から怖いなあと思うのは、どんな梅雨になるか、ということも気になりますね。梅雨に入っていきなりぶっ続けで曇ったりして日照時間が極端に少なくなることです。昔の梅雨はこんなんじゃなかったんですけどねえ。

それから台風の時期は風速や向き(進路)。だって温室がガラスだから割れちゃうでしょう。下手すると吹っ飛ばされる可能性もありますし。台風が以前よりも大型化しているから、台風がこっちにくるとわかったら、周囲のものが飛ばないようにして窓は全部ロックします。でもすごく強風だと、自分ちはちゃんとしていてもどこかから何かが飛んでくることもありますね。

③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?

毎朝起きてすぐパソコンを立ち上げてチェックしますし、週間予報もかなり見ますよ。それと冬場には翌朝気温が何度まで下がるかはとても気にします。

④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?

既にお話したように、太陽光や温度がとても重要ですし、それまでの経験からさまざまなことを判断して、やるべきことをやるべきときにきっちりやっておかないと、メロンが美味しくそだたないでしょう? 苦労というか工夫の面ではさまざまありますね。

⑤ 今までで一番「天気に悩まされた」ことは?

冬が暖冬で夏が冷夏のこと、ですね。特に暖冬は夏場の暑いのよりタチが悪いんです。
暖冬は大体くもりがちで中途半端に気温が高いってことになっても、メロンの生育適温から考えたら低いでしょう。ちなみにメロンの適温は日中冬場で30度。曇天のときはいくらボイラーをフル稼働して頑張っても23度くらいにしかならないんです。

日中太陽がしっかり出て(晴れて)放射冷却で翌朝すごく冷える、いわゆる冬らしい冬だと、気温が低くてもボイラーのコンピュータ制御でなんとかできる範囲です。太陽が出ればそれなりに昼間は温室の中の気温もあがりますしね。けれど太陽が出ないと温室の温度も上がらないし、それをボイラーで補うのが大変です。しかも日照時間が少ないとメロンの実をつけるうえでとても大事なコヅル(花がつくところ)が死んじゃうんですよ。

夏はあまりにも猛暑で空中湿度が上がりすぎると、水分が葉っぱから蒸散して根っこから水分を吸い上げる量が少なくなり、作物は元気がなくなってしまいます。人間の夏バテと同じように、作物も自分の体を維持して立っているだけで精一杯になってしまうんです。


なるほど・・・暖冬も冷夏もメロンをはじめ、作物にとっては致命的。しかも冬場に温室を30度に保つとは、びっくりでした。また、夏場の温室の環境を考えたら・・・その過酷な状況がわかるエピソードがこちら↓

仕事中はスマートフォンもフィーチャーフォンも持てません。以前、携帯ショップで「これ、水没させたでしょう?」って言われたことあるんですが、それくらい汗だくになるもんでね。苦笑

取材の終わりに自慢のマスクメロンを食べさせていただきましたが、その美味しさに身悶えしそうなほどでした!戸田さん、本当にありがとうございました。

協力:戸田メロン園

(アール)

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