【3.11特集】進化する非常食~缶を開けたら本格ケーキ「どこでもスイーツ缶」

第23回「震災対策技術展」の会場で、人気の高い一角が「非常食」のコーナーでした。商品を試食することができたのも人気の理由のひとつだったかもしれませんが、いわゆる「食事」商品が多い中、目を惹いたのがこちらの「どこでもスイーツ缶」でした。

▲どこでもスイーツ缶(手前は150g入、後ろは食べきりサイズ65g入の「ミニ」)

缶詰のケーキなんて初めて・・・果たしてお味は?試食の「チーズケーキ」を一口食べてびっくり!非常食のイメージを覆す(!?)ほどの美味しさに、その謎に迫ろうと製造元のトーヨーフーズ株式会社さんをお訪ねしました。お話を伺ったのはトーヨーフーズ株式会社・瀬川義雄さんです。

トーヨーフーズ株式会社 瀬川さん

――「どこでもスイーツ缶」の特徴について教えてください。

常温で保存でき、賞味期限が3年間の長期保存スイーツ缶詰になります。「チーズケーキ」「ガトーショコラ」「抹茶チーズケーキ」の3種類のお味と、150g、65gの2つの大きさがございます。

―― 缶詰のスイーツ、って初めて聞きました。

そうですね、なかなか類をみないものだと思います。これは弊社が65年間、缶詰の製造を行ってきたノウハウの賜物でして、今のところ弊社でしかできない「世界初」の製造法でできています。

―― なるほど、なんだかすごそうですね。具体的にはどのようにして作るのでしょう?

例えば一般的なパンの缶詰は、オーブンで焼き上げたパンを缶に詰めてから窒素置換で空気を抜いてフタをしています。ですが、これはまず、缶にケーキの材料を入れてフタをします。この時点では、中身はナマの状態です。フタをした缶のまま、レトルト殺菌で焼いています。正確には蒸気の熱を利用していますので、焼く、というよりはケーキを蒸しあげているんですが、ちょっとこのフタをご覧いただくと・・・裏に焦げがついているでしょう?

▲フタの裏には焦げが・・・

―― ほんとですね!ということは、パンなどとは違った普通の缶詰の製法でこれができているということでしょうか?

豆やコーンなどの農産物は、大きな釜で3割くらいまで調理してから缶に詰めてレトルト殺菌の工程になります。このとき「120度で30分」などの条件があるんです。業界では「条件出し」と呼んでいますが、これがケーキになるとほんの1度違っても数秒違ってもダメで、真ん中が生焼けになったり、まわりが焦げたり・・・缶詰の中身を決めるのは「条件出し」といわれる「何度で何分」の部分です。この「条件出し」がすごく難しかったです。

弊社では65年間の経験と技術の蓄積がありますが、スイーツを作るのは初めてで、大変な苦労がありました。この「条件出し」ですね。本当に繊細な調整が必要で、構想から完成までに2年半の試行錯誤期間がありました。試作は200回を超えています。

また、ケーキといえば通常の賞味期限は1週間程度。缶詰にして長期間美味しいまま保存できるとなると至難の技でした。

やっと美味しくて焼き上がりの良いものが出来上がっても、当初は賞味期限が1年間だったんです。完成直後ですと検証期間も足りませんしね。防災食や非常食で、賞味期限がたった1年となると業界では全く相手にされませんでした。それでも年月を経ていくうちに興味を持っていただけたり、今年の3月には賞味期限が3年のものを発売できるようになりまして、今後大いに期待できそうです。

―― これがこの美味しいまま3年間も保存できるなんて驚きですね。

ありがとうございます。これができるのは、今のところ弊社だけだと思いますよ。フタをして密封してから蒸しあげるので、水分が逃げる事もなくしっとりとした食感が残って、本格的なスイーツ(缶詰)ができあがるんです。

生地も少量ずつ丹念に混ぜ合わせ、ひとつひとつの工程を丁寧に作っています。真空状態で密封しますので、食品の劣化の原因となる酸素を極力取り除いた状態になり、香り・味・食感を保つ事ができるのが「どこでもスイーツ缶」の大きな特徴ですね。


それにしても缶詰で本格的なスイーツがいただけるなんて!「どこでもスイーツ缶」が誕生した経緯については、次回お伝えしたいと思います。

取材協力:トーヨーフーズ株式会社

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