【天体観測】金星と土星が仲良く並ぶ

空気が冴え渡った冬の空は、星が見えやすく観察に適したシーズンです。最も寒い2月の夜明け前、南東の空に木星・金星・土星と、太陽系の惑星が鋭く輝いています。土星は2月上旬は低い位置にあり、ややわかりづらいですが下旬にかけて早く昇ってくるようになるため、徐々に見やすくなります。

■大接近は2月19日

土星と金星が一番近づいて見えるのは2月19日。地球との距離が近い惑星ほど、1日ごとに見える位置の変化が大きく、逆に遠くになればなるほどその変化は小さくなります。
金星は地球よりも太陽側、つまり内側を回っているので地球から見える位置はどんどん変化しています。

(画像:国立天文台HP)
(画像:国立天文台HP)

上の二つの画像を見比べてみてください。1月下旬(図:上)にはへびつかい座のすぐ脇にあった金星が、1ヵ月後の2月下旬(図:下)にはいて座の領域に入っています。ここで土星と大接近を迎えます。マイナス4等を超える明るさで煌々と輝く金星と比べると、0.6等の土星は少し弱々しく見えるかもしれません。

■土星の環(わ)が無くなる!? の話

土星といえば、星の周りに「環」があることが有名ですが、2009年、この環が「消失?」という現象が起こりました。これは土星の自転・公転・軌道・輪の傾きなどが関係して起こる現象です(実際に環が消失しているわけではありません)。

土星の自転軸は、土星の公転軌道面の垂直方向から、約26.7度傾いています。土星の環は、土星の赤道面に位置しているので、公転軌道面からやはり約26.7度傾いています。その傾きを同じ方向に向けたまま、太陽のまわりを約30年かけて一周(公転)していますので、地球から見たときの環の傾きは、約15年の周期で大きくなったり小さくなったりします。

(画像:国立天文台HP)

1995年頃には真横から見ていた土星の環は、2002年頃には傾きが最大になりました。その後、環の傾きは小さくなっていき、2009年9月には、再び環をほぼ真横から見る位置関係になりました。ちなみにこの環は、氷の粒の集合体だと考えられています。そして幅は一番広いもので2万5000kmもありますが、厚みはせいぜい1kmと薄いため、地球から環を真横から見ることになる前後の数日間は、この環を見ることができなくなります。これを「環の消失現象」と呼ぶのです。

「消失現象」から約10年。今は比較的大きく見える時。環を見るのはもちろん難しいですが、土星の環にも思いをはせて夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。2月の早朝は一年のうちで最も寒いので、防寒対策は万全に!

(アール)

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