稚魚から成長した魚になるまで何度か名前が変わるサカナは「出世魚」として人気が高く、縁起ものとして食卓にのぼることしばしばです。代表格はやはりブリですが、今回ピックアップしたスズキも出世魚。やや細身の流線型、きりっとした顔立ち、いぶし銀のような渋い色合いで、魚の中でも際立って「ハンサム(美人)」とされています。
また夏の盛りのスズキについては「土用の鱸は画に描いてなめても薬になる」ともいわれ、ウナギに負けず劣らず栄養食として好まれていたようですね。
■スズキの名前、あれこれ
出世魚・スズキの名前はどのように変化していくのでしょうか?
① ヒカリゴ…孵化してから5cm前後の頃
② コッパ…1年目(当歳魚ともいう)
③ セイゴ…2年目(体長20~25cm前後の頃)
④ フッコ…2~3年目(30~50cm、ハネと呼ぶ地域もある)
⑤ スズキ…4年目(60~70cm、大きいものだと100cmにもなる)
*ハラブト…産卵の時期(冬期)の大きいもの(腹太と書く)
名前の由来は諸説ありますが、「その身白くてすすぎたるように清げなる魚なり」と書かれた文献などから、身が透き通るように美しく「ススギ→スズキ」となったという説が有力です。また漢字では「鱸」(魚へんに盧)と書きますが、この盧という字は「入れ物(ご飯を入れるおひつ・火を入れるもの)」などの意味と「黒いもの」を表す意味などがあり、スズキの見た目(黒っぽい背中)からこのような名前がついたとか。
■絶品!スズキ料理
名前の由来にもなった、薄くそいだ身を氷水でさっとしめた「洗い」で頂くのが絶品とされていますが、刺身、塩焼き、鍋料理、揚げ物、かぶと焼きなどの和食をはじめ、カルパッチョやムニエルなど、実にさまざまな料理で美味しくいただけるのもスズキの特徴です。
食欲が落ちてしまいがちな暑さがまだまだ続きそうですが、美味しいスズキで元気回復してみるのも、よいかもしれないですね!
■食欲旺盛!食べるときは丸呑み
各種料理で人気のスズキ。スズキ自身もかなりの大食漢で生物を主食とし、大きな受け口で小さなサカナやエビなどを丸呑みします。視覚で獲物を見つけ、振動をキャッチする感覚器官で捕らえる習性があるため、釣りの際には生き餌を泳がせたり複雑な動きをするルアー(疑似餌)を使うことが多いそう。大きなスズキにガブッと食いついてこられたら、かなり興奮してしまいそうですね。
(アール)