「いつかはキャンプをしてみたい」
そんな憧れを抱きつつ、インドア派でつい及び腰のまま早数年……。
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ソロキャン、ゆるキャンなどメディアを通じてキャンプに触れることも増え、子供の自然体験機会として、心身を癒す場として、また感染症対策との相性もあり屋外レジャーが人気を博している今、初心者が気軽に参加できる場も増えています。
この機会に、始められたら……!筆者もそう思っている一人です。
そこで、キャンプ超初心者の方々に向けた実践的なススメと、季節ごとの魅力・押さえておきたいマナーなどをプロに教えていただきました。
お話を伺ったのは、「人生に、野遊びを。」とコンセプトを掲げるアウトドアブランドSnow Peak(株式会社スノーピーク)の広報、木下雄斗さんです。
▲粟ヶ岳や守門岳を望む自然豊かな丘陵地帯に建つスノーピーク本社。広大な敷地を有し、オフィスにはキャンプフィールドと直営店のほか、アフターサービス、ミュージアムを併設。この土地の広大な自然と、目の前でキャンプを楽しむユーザーと日々向き合いながら、独創的なプロダクトが生み出されています。
キャンプを始めるには、春〜夏がベストシーズン!
キャンプと聞くとサマーキャンプや秋のレジャーのイメージがありますが、実は、春から夏にかけてがキャンプを始めるのに一番良い時期なのだそうです。
「過ごしやすい気候で、キャンプの醍醐味でもある夜の焚き火が気持ち良いんです。温暖化の影響で、夏は気温が高いためお子さんの体調面などに注意が必要にもなります。そういった意味でもまずは春に始めるのがおすすめです」と木下さん。
また、意外なことに日本では冬場のキャンプもおすすめなのだそう。
「冬の方が汗をかきにくく不快感が少ない、という冬キャンプファンも多くいらっしゃいます。ご飯は毎回鍋を楽しめばOK!という感覚になれるのも季節ならではかもしれません。冬から春にかけては季節の移ろいが目に見えてわかるので、自然の変化を楽しむのにもぴったりです。」
もちろん夏も、暑さ対策や虫除け対策をしながら存分に楽しめます!(ということはオールシーズン楽しめてしまいますね!)
最近は「虫除け機能」のついたウェアなども多数出ているので、環境に配慮しながら快適に過ごす道具も豊富にあるのだとか。
災害時にも活用できるアウトドア用品。キャンプデビューをきっかけに商品を探してみるのも楽しそうですね。
キャンプを楽しむために
さて、それでは実際にキャンプに出かける際のポイントを見ていきましょう。
まずは入念な事前準備を
はじめてのキャンプを成功させる秘訣は、入念な事前準備にあるといいます。Snow Peakの店舗では、設営の講習会やデビューユーザー限定のキャンプイベントも実施しているのだそう。そのノウハウにもとづいた、当日キャンプ場で困らないための外せないポイントを伺いました。チェック項目として活用してみてください!
◆テント設営の練習
公園などで事前に設営の練習をしましょう。
設営が一番心配という人も多いはず。公園などで練習をして、あらかじめ慣れておくと安心です。
また、キャンプ場によっては、設営を手伝ってもらえるサービスもあるので事前に確認しておくと心強いですね。
◆キャンプ場の設備をチェック
今は、様々なタイプのキャンプ場が各地にあります。
水回りやトイレがきれい、お湯が使える、シャワー完備など、設備の整った高規格なキャンプ場なら初心者の方や小さいお子さん連れで訪れた時も快適に過ごせます。
ただし人気が高いので早めの予約がおすすめ!とのこと。
◆キャンプ場までの距離
忘れ物に気づいたときや、どうしてもお家に帰りたくなったときに備えて、はじめてのキャンプはお家の近くだと安心です(移動距離が長いと子どもたちが飽きてしまう場合も)。家から2~3時間の場所を目安にしてみてください。
◆キャンプ場周辺のリサーチ
・近くの遊び場
子どもとキャンプに行くなら、遊べる場所が近くにあるキャンプ場を選ぶと楽しさ倍増します。公園やトレイル、テーマパークなどもいいでしょう。ぜひ探してみてください。
・食材を調達できる場所や病院
買い出しに便利な最寄りのスーパーはもちろん、万が一に備えて病院などの所在も事前チェックを。
また、道の駅など地元ならではのお買い物スポットで買ったご当地食材をキャンプ場で食べるのも良い思い出になりそうです!
◆レンタルなどのサービスの確認
最初は足りない機材をレンタルで補うという方法もあります。レンタルが充実しているキャンプ場も一つの選択肢。忘れ物をしたときも安心です。
積み込みや撤収の手間が減れば、その分子どもに向き合う時間を増やせます。
◆持ち物のポイント
・子どもが喜ぶオモチャを持参しよう
設営や撤収の際など、お父さんやお母さんが子どもの相手をできないときの強い味方になります。
・服はたっぷりと用意しよう
気温や天気が変化しやすいキャンプ場では、薄いウェアを何枚か重ね着して調節するのが便利です。日中は暑くても夜は冷えることがあるので、暖かい服を忘れずに。また、雨よけだけでなく風対策にもなる、レインウェアは必須です。
少し大げさかな?くらいの準備が安心です。
食事は適度に手を抜いて
「はじめてのキャンプだと、テント設営だけでヘトヘトになることもあります。やることをたくさん盛り込んでしまうより、例えば、ご飯はできたものを持っていって食べるなど、やりすぎない方がゆっくりと時間を楽しめますよ。外で食べると何でもおいしく感じますから!」と木下さん。
とくに家族連れで、たくさん遊びたい子どもが一緒だと、食事にこだわるのはなかなか大変。適度にラクをして、まずは自然の中で家族と過ごす時間を優先させることが楽しむ上で大切ですね。
知っておきたいキャンプのマナー10選
最後は、マナーについてご紹介します。
他の利用者や環境への気づかいを忘れずに。楽しいキャンプの思い出をつくりたいものです!
消灯時間を過ぎたら、お静かに
夜間は小さな物音でも遠くまで響き渡ります。ランタンの光量も落としましょう。音量は、ほどほどに
音楽やラジオの音は大きすぎると周囲の迷惑に。サイト(自分たちの敷地)内で収まる音量を心がけて。他人のサイトを横切らないで
サイトは利用者のプライベート空間。近道でも立ち入らないようにご注意を。ペグダウンは念入りに!
突風でテントやペグが飛ばされると大変危険です。風のない日も油断は禁物。ルールを守って捨てよう
粗大ゴミを捨てるのは絶対NG!ゴミの分別など、指定のルールを守りましょう。炊事場はキレイに使おう
炊事場は共有スペース。次の人のために長時間の占有はせず、生ゴミの処理も忘れずに。場内の走行は最徐行で
キャンプ場内では低速度で走行しましょう。子どもが急に飛び出してくるかも!火の後始末はしっかりと
焚火は完全消火を。灰や炭の処理もルールに従って。土に埋めたり、川に流すのはNGです。火の取り扱いは要注意!
密閉空間での火の使用は一酸化炭素中毒や火災の危険が。正しい使用方法を守りましょう。動物を連れていく時は、リードは必ずしよう
キャンプ場では基本的にノーリードは禁止です。排泄物を放置することも絶対NGです。
(出典:Snow Peak
(https://www.snowpeak.co.jp/sp/campdebutspring/)※編集部注:「ペグ」とは、テントを固定する杭・「ペグダウン」とは、杭を打つこと
何から始めれば良いの……と迷っていた筆者。
初心者に安心の高規格なキャンプ場も多いというお話や、テントさえマスターすればまずは大丈夫!と伺えたことで、キャンプへのハードルがぐっと下がりました。
事前準備はしっかりしつつ、当日は無理をせず自然の中での時間を味わう。そんなスタンスでまずはチャレンジしてみようと思います。
取材協力
株式会社スノーピーク
https://www.snowpeak.co.jp/
(執筆:小俣荘子)