ヘリコプターで東京上空を遊覧飛行、ステキですね〜。乗客としては「見えるか・見えないか」が一番気になるところですが、機長はそうはいきません。フライト当日の朝からず〜っと天気のチェック。気象に関する知識と経験が豊富でも、急な天候の変化には…前回(「見える景色と安全」どちらも超重要。ヘリコプターと天気の濃い関係)に続きお話いただくのはパイロット歴40年の大ベテラン・エクセル航空株式会社の石井さんです。
エクセル航空株式会社・石井幸光さん
① お仕事の中で天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします。
それはもう、1も2もなく10です。
安全面ではとにかく天候に左右されます。お客様にお伝えする「飛ばせる・飛ばせない」の判断は天候でしかありません。
② 天気について、何を・一番・どのタイミングで、知りたいですか?
朝一番でその日1日の雲の状況を知りたいですね。関東地区(飛行範囲)については、気圧配置でおおよその予測はつきますが、急変もありますからね。朝のチェックで予測した流れと変わらないのが一番なんですけどね、こればっかりは…。
③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?
まずは朝起きたらすぐ。この時太陽が見えてくれていると良いですね!
飛行可能かどうかの最終的な判断は飛行の2時間前で、それまでに何度か天気の流れを見ています。回復するか否か。天気を見る頻度は人によって違いますが、気が短い人はしじゅうチェックしていますよ。
夕刻のフライト
(写真提供:©エクセル航空株式会社)
④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?
今日は行けますよ、といって飛んでみたらとんでもなかった…ということがあります。例えば「富士山は見える」と予測したのに、飛行してから急に雲が出てきたりすることも。
可能な限り、雲の合間をぬって出るとか、雲をさけたりして富士山が見える位置を探して飛んだりします。操縦しながら雲の配置や状態を見て判断します。ヘリコプターの場合はある程度、速度を落とすとかホバリング(空中で停止した状態のこと)ができますので…といっても、実際にそこまでに至るケースはほとんどないですけれどね。
工夫という意味では、フライトコースを変えることもできますが、これは機長の判断になります。フライトの時間も決まっていますので、条件や制限などさまざまな要素を考えて決断しなくてはなりません。
⑤ 今までで一番「天気に悩まされた」ことは?
「一番」というと難しいですが、天気にすごく悩まされることは年に2〜3回はあります。つい先日も東京都内の狭い範囲だけ雨雲がドーンと発生して天候が急変して大変でした。局地的な急変は予測が難しいですし、飛んでみないとわからないことが多く本当に苦労しますね。
近年はゲリラ豪雨をはじめ、気象の急変も多く「空を飛ぶ」仕事は本当に大変だなと思いました。石井さん、貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:エクセル航空株式会社
(アール)