睡眠不足だと太りやすい? すこやかなカラダに必要な睡眠

連日の熱帯夜で寝苦しい夜が続きます。 寝不足が続くと、体調にさまざまな異変を招く原因になるだけでなく、仕事におけるパフォーマンスの低下やミスにもつながりますし、睡眠不足の運転は大きな事故の原因にもなりかねません。今回は「睡眠の重要性」と「熱帯夜に気持ちよく寝るためのちょっとしたコツ」についてお話します。

睡眠は脳とカラダの休養

私たちニンゲンを含む哺乳類や、鳥類などの恒温動物(自らの体温を一定に保つことができる動物)は、外部からの情報を処理してカラダを働かせるために、大脳を発達させ、進化してきました。

大脳は、脳とカラダの機能を維持したり、管理したりするために休息が必要不可欠です。この休息が「睡眠」です。睡眠中は「脳とカラダの休養」と「脳内情報のコントロール」という重要な働きをしています。

眠くなるのはなぜ?

眠くなるのは「恒常性維持機構」と「生体時計機構」の2つが総合的に補い合って働いているためです。

恒常性維持機構

脳やカラダの疲れを回復させるために睡眠が必要となり、眠気が起こるしくみです。長い時間起きていたり、スポーツや長時間頭を使う作業をした日には、特に眠気を強く感じます。

脳は日中活動をしている間に、一種の老廃物である睡眠物質をつくります。これは眠りを引き起こす物質で、起きている間に少しずつ蓄積されていきます。

生体時計機構

その日の体調や活動量、疲労感に関係なく夜になると眠くなるという体内時計によるもの。これは、脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)というとても小さな器官によって調整され、夜になると睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌されます。

睡眠障害にご注意を!

規則正しい睡眠を促す脳やカラダのコントロール機能がうまく働かずなんらかの異常が生じて発症すると定義されている「睡眠障害」。実は日本人の1020%の人が睡眠障害を発症していると言われています。睡眠障害には「不眠症」「過眠症」「概日リズム障害」「睡眠時随伴症」などがあります。「単なる寝不足」と簡単にとらえず、悪化する前に早めに医療機関にいくことをお勧めします。

睡眠不足は太りやすい?

さて、気になるのはこちら、という方も多いですよね。
睡眠時間が少ないと太りやすいと言われるメカニズムは、ホルモンが関係しています。このホルモンとは、食欲に関するホルモン「レプチン」と「グレリン」の2種類です。

レプチン脂肪細胞から分泌されます。脳の視床下部に働きかけて満腹中枢を刺激し、摂食を抑えてエネルギー消費と脂肪の燃焼を促す働きがあります。

グレリン胃から分泌されます。脳の視床下部に働きかけて食欲中枢を刺激し、食欲を増進する働きがあります。

睡眠時間が少ないと、食欲を抑制するレプチンの分泌量が低下し、食欲を増進するグレリンの分泌量が増加するといわれており、睡眠不足の状態だと食欲を抑えられなくなるのです。レプチンとグレリンの分泌のバランスを保つためには、睡眠をしっかりとることが大切です。

また、睡眠不足によりカラダや細胞が疲れて代謝が落ちてしまうということも。いずれにしても睡眠不足は、ダイエットの強敵といえるでしょう。

熱帯夜でも気持ちよく眠るには?

睡眠不足の状態では、熱中症になりやすいともいわれています。この時期はとくに「しっかりと睡眠をとる」ことを心がけてください。暑くてなかなか眠れないよ~!という声も聞こえてきそう。ちょっとしたコツをご紹介しますので、試してみてください。

湯船に浸かって、少し汗をかく

ぬるめのお湯に浸かり汗をかいて体温調整をする。
※入浴の前後には、コップ1杯ずつの水を飲むこともお忘れなく!

頭を涼しく

市販の冷却枕などを使う。冷えすぎないよう、タオルなどを巻いて調整しましょう。

エアコンを利用する

就寝1時間程度前から、室温を少し低め(2526度程度)に冷やすと寝つきやすくなるといわれます。寝るときには設定温度を28度前後に上げましょう。

寝具を快適に

涼感タイプの寝具や、夏用のタオルケット、ガーゼケットなど、自分にとってもっとも快適な寝具を使いましょう。

就寝前のお酒・コーヒーは控えめに

アルコールを飲むと眠くなりやすくなるものの、睡眠のリズムが崩れ夜中に目が覚めやすくなるというデメリットがあります。また、コーヒーやお茶・紅茶に含まれているカフェインは神経を興奮させたり、利尿作用があるため、寝つきが悪くなったり夜中に何度もトイレに起きる、これまた睡眠のリズムを狂わせる原因になりかねません。


いかがでしたか? 睡眠ってとっても大事です。寝不足はカラダの不調を起こす原因にもなりますし、睡眠不足そのものが「健康な状態」とはいえません。睡眠を見直す機会をもっていただけたらと思います。

アール

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