酸性雨、という言葉を初めて耳にして以来、「お肌には弱酸性を」とか「身体にはアルカリイオンのお水が」など、日常生活の中でも「酸性」「アルカリ性」などの言葉を見かける機会が多いですよね。このふたつの言葉、小学校だったか中学校だったかでリトマス試験紙などを使って実験してみたり、特性について習ったような気がするけれど、どっちがどうだっけ?そもそもそれってなんだったっけ?とちょっと目線が上にいきかけた方のために、カンタンなおさらいを。
■pHってなんだっけ?
pH(ペーハー)は、水溶液の性質をあらわす単位のひとつです。ざっくり言うと対象物(液体)の中にどれくらいの割合で水素イオンが含まれているかで、酸性かアルカリ性か判断することができます。水の分子式とかいろいろ化学的なこともありますが、ちょっとここでは割愛させて頂きますね。今回はこのpH値に注目した「温泉」についてのご紹介です。
■酸性 or アルカリ性
水溶液中の水素イオンと水酸化物イオンのバランスでpHが決まります。
酸性・・・水素イオンのほうが多い
アルカリ性・・・水酸化物イオンのほうが多い
環境省が定める温泉の泉質の定義はとてもたくさんの項目があり、ここで全てをご紹介するのはちょっと難しいですが、pH値に関しては下記のようなガイドラインがあります。
pH3.0未満 酸性
pH3.0以上 6.0未満 弱酸性
pH6.0以上 7.5未満 中性
pH7.5以上 8.5未満 弱アルカリ性
pH8.5以上 アルカリ性
(写真提供:玉川温泉)
■どのように違う?それぞれの特徴
人間の体内は弱アルカリ性、ヒフなどは弱酸性に保たれています。ではpH値が高い・低いだと、どのような影響があるのでしょう。
石鹸などに例えられることが多いアルカリ性のお湯は、洗浄能力が高いと言われます。皮脂や汚れなどをお湯が溶かしてくれたり、角質を柔らかくしてくれたりすることが期待されます。
一方、火山地帯の硫黄のニオイなどが特徴的なのが酸性のお湯。殺菌力が強いといわれ刺激もあることが大きいようです。
どちらの特徴も魅力的ですね。pH値が普段と全く違う状態になるとお肌は元の弱酸性に戻そうとしますので、しっかり温まってアルカリ性・酸性ともに堪能した後は、温泉成分を洗い流すようにしましょう。
さあ、お待たせしました!!それではライフレンジャー地図チームきっての情報通・セキ氏によるとびきりオススメのお湯をご紹介です。
▼ 強アルカリ性のお湯3選
①教科書にも掲載されるほどの高いpH値を誇る強アルカリ温泉
都幾川温泉
(埼玉県比企郡ときがわ町)
源泉かけ流しが自慢の旅館「とき川」の方によると、秩父山脈に源泉があるのでpH値が高いのではないか、とのこと。源泉100%で作ったミストも人気とか。(協力・写真提供:とき川)
②北アルプスの山麓から蛇紋岩地層を通って噴出する温泉
白馬八方温泉
(長野県北安曇郡白馬村)
③東京の奥座敷と呼ばれた風雅な佇まい、丹沢山麓の東端にある温泉
厚木飯山温泉
(神奈川県厚木市飯山)
▼ 強酸性のお湯3選
①酸性毎分9,000リットルの湧出量も自慢、強酸性温泉
玉川温泉
(秋田県仙北市田沢湖玉川)
硫黄と微量のラジウム放射線が含まれるとても特徴のあるお湯で、湯治に訪れる方がとても多いとのこと。毎年11月上旬から4月中旬頃までは雪のため閉鎖。春が待ち遠しい温泉です。(協力・写真提供:玉川温泉)
②地底からにじみ出る雨量で変化する、自然任せの温泉
塚原温泉
(大分県由布市湯布院町)
③硫黄岳を背に海にせり出すように湧き出す野天風呂
薩摩硫黄島 東温泉
(鹿児島県鹿児島郡三島村硫黄島)
天の川を見ることができ、野生の孔雀が出迎えてくれる三島村硫黄島。島の船着場の色も硫黄の影響を受けてカラフルな色に。
こんにちは、アールです。日本は温泉大国!さまざまなお湯を楽しむことができて、温泉的に恵まれていますよね。取材やプライベートであちこち温泉を訪ねましたが、酸性かアルカリ性か?と聞かれると甲乙つけがたい!です。実際の効用も気になりますが、いま温泉に浸かっているんだ、というゆったりとした気持ちも大事な気がします。