今年はさくらの開花が早い!との情報が。記録的な暖冬で、感覚的には「冬が来た、の、かな・・・」くらいでいたら、もう春がきちゃった!と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。花粉も早めに飛び始め、いろいろな理由でマスク姿が街に溢れていますが、季節はどんどん進んでいます。
さて、毎年立春を過ぎた頃から目にする「さくら(ソメイヨシノ)開花予測」ですが、これは民間企業から発表されたものだけ、ということをご存知でしょうか?
1955年から毎年3月~4月にかけて、気象庁が各地方の気象台が観測しているさくらを対象として「開花予報」をしてきましたが、2009年を最後に開花予報の発表を終了していたんです。その理由として「最近では、全国を対象とした当庁と同等の情報提供が民間気象事業者から行われています(気象庁HPより一部抜粋)」と記されていました。
開花の予測については色々な条件が関係します。それにはソメイヨシノに1年間、どんなことが起きているかが重要になります。
「開花=0地点」とすると、春の間に栄養を蓄え、夏には花芽が形成され、夏から秋にかけて休眠。休眠からは低温刺激による「休眠打破」という期間が必要になり、花芽が成長して開花・・・となるのです。夏には必要な「暑さ」が必要ですし、休眠打破のためには必要な「寒さ」も必要。温暖化になればサクラの開花も早まるんじゃない?ということだけではなく、このまま温暖化が進んで、必要な「寒さ」が得られなくなれば、さくらの開花もなくなってしまう可能性だってあるわけです。
少し話がそれましたが、その年の開花予測は、開花から1年間の気温などの諸条件・過去の膨大なデータからの推定など、とても複雑です。すごく簡単な方式だと「気温の合計が○○度」などという情報もありますが、テレビなどで発表される「開花予測」はそんな簡単な足し算で算出されるものではありません。今はコンピュータやデータなどが比較的運用しやすい世の中ですが、そんなものがあまり無い時代はどのようにしていたのでしょうか。
驚くことに、当時は「蕾の重さをはかっていた」ようです!・・・つまり成長の度合いを体重(重さ)ではかり知る、というもので、動植物の観察に欠かせない方法のひとつでもあります。開花前に一気に重さが増えるタイミングがあり、この日を把握すれば、そこからある一定の日数が経った開花の日が予測できるとか。蕾の中で花を咲かせるための要素が育っていき「重さ」という測定できるものとして私たちに見えない「中の様子」を教えてくれるのですね。
参考:気象庁HP
(アール)