暑さに身体が慣れていない春だからこそ、気をつけるべき「熱中症」

大気の状態が不安定な日が多く、夏日のような日もあれば肌寒さを感じて「なにか羽織るものがほしい」と思う日も。こんな時期に「熱中症に注意」と聞くと「まだ早いのでは?」と思うかもしれませんが、今だからこそ注意するべきです。
雪が多くかなり寒かった冬で、3月下旬には関東でも積雪、4月上旬の気温も低め。春は少し遠そうなイメージでしたが、2週間と経たないうちに夏日(気温25度以上)を観測する日もあり、一気に季節が進みました。
「冬モード」から急激に「夏モード」になると、身体が変化についていけず体調を崩したりしがちになります。マスクによって自分が思っている以上に喉が渇いていることも考えられます。暑さに身体が慣れていない時期だからこそ「熱中症」にはくれぐれも気をつけてください。

■熱中症のしくみ

人間の身体は、自律神経の働きで体温をある程度一定に保っています。暑い日には血管を広げて血流をうながし、体内の熱を放出する→体温の上昇により汗をかき、汗が蒸発するときの気化熱で身体を冷やす…といった働きをしてバランスを維持してくれているのです。
いわゆる「熱中症」とは、暑熱環境で起こる身体の障害症状の総称で気温・湿度・風の有無など諸条件が関係します。日本の夏は高温多湿なため、体温調節機能が乱れて熱中症を起こしやすいと言われます。
気温が高すぎて体温に近づくと、熱を外に放出しにくくなります。また、気温がそれほど高くなくても、湿度が高かったり風が全く吹かない状態だと汗が蒸発しにくくなり、身体から熱の放射を妨げる要因になるため、注意が必要です。

■熱中症の症状とは?

熱中症は下記のように「軽症」「中等症」「重症」の3段階で分類されています。

参考:熱中症環境保健マニュアル2022

■熱中症になった時の対処について

熱中症になってしまった場合の対処については、意識がある・反応が正常なときと、意識がない・反応がおかしいとき、によって異なります。意識がない・反応がおかしい場合は一刻を争うこともありますので、すぐに救急隊の要請をしましょう。

<意識がある、反応が正常な時>
1:涼しい場所へ避難させる
2:衣服を脱がせて身体を冷やす
3:水分・塩分を補給する
※自力で水を飲めない、または症状が改善しない場合は直ちに救急隊を要請しましょう

<意識がない、反応がおかしい時>
1:すぐに救急隊の要請をする

2:涼しい場所へ避難させる
3:衣服を脱がせ、身体を冷やす
4:医療機関に搬送する
※倒れた時の状況・様子などを救急隊員にできる限り正確に伝えてください

■具体的な熱中症予防対策とは

*水分補給は塩分も必要。水だけでは逆効果になることも
水分補給は必要不可欠ですが、覚えておかなければならない重要なポイントがあります。それは「一度にたくさんの水を飲まない・塩分も一緒に摂る」こと。汗を大量にかいた後は、身体の内部の成分バランスも崩しがちのため、かえって熱中症の症状を悪化させる危険もあるのです。ちなみに目安としては、水1リットルに対し2g程度の塩分です。摂取すべき成分のバランスが整った「経口補水液」などを活用するのもよいでしょう。

*外出時間に注意
外出や遠出の自粛期間ではありますが、例えば公園で過ごす時間や、ウォーキング・ジョギングなどの汗をかく運動を伴う外出はとくに、気温が高い日中の外出はできるだけ控えるようにしましょう。日傘や冷却アイテムなどを活用すること、水分はいつも手元に持ち歩くこともお忘れなく!

* 運動の内容を検討
不慣れな運動や体温が急に上がるような激しい運動は控えましょう。また、原則として炎天下で運動はしないよう気をつけてください。

* 水分&塩分をこまめに摂取
水だけの摂取ではダメ。必ず塩分も一緒に摂るようにしてください。
(※ 正しい濃度で塩分と水分を摂取するには経口補水液がオススメです)

* 食事はバランス良く、規則正しくを意識
毎日の食事も大事です。旬の食材を使ってバランスよく、決まった時間に食事をとり生活リズムを整えるように心がけましょう。栄養はもちろん、食事から摂取している水分も減るため、食欲が減退しやすい高気温の日は、水分不足にも注意が必要です。汁物・水分の多い献立を考えてみてください。

* 睡眠をしっかりとる
睡眠不足も熱中症の原因のひとつです。寝苦しさを感じたら、入眠・熟睡しやすい環境を整えることが大事です。
(入浴の際は事前にコップ一杯程度の水分を補給し、うっすら汗をかく程度に。汗をかくことで、体温の上昇を少し抑えられます)

ライフレンジャーでは、1時間毎の気温予報も知ることができます。1日の気温のピークもチェックして、予定の参考にしてくださいね。どうか気をつけてお過ごしください。

(健康管理士・アール)

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