青森県の豪雪地帯・ヒバ千人風呂で有名な酸ヶ湯温泉のある青森市酸ヶ湯と、十和田市を結ぶ国道103号線の除雪が行われ、全長8kmの道が開通して巨大な雪の回廊ができました。今年は降雪量が多かったこともあり、高さ8mを超えるところもあったとのことで、圧巻の景色になっているようです。
降雪・積雪量が多かった、となると心配なのは「なだれ」です。気温上昇や、このところ頻発に起きている地震の影響も考えられますのでさらに危険が懸念されます。
日本は急な斜面が多く、世界でも有数の豪雪地帯で、多いときには年間でおよそ100件のなだれが発生します。2017年3月27日に発生した「那須雪崩事故」では、登山講習会に参加していた高校生や教員がなだれにまきこまれて尊い命を奪われました。
さくら開花・満開のニュースが報じられる今こそ、なだれなどの事故に巻き込まれないようご注意ください。「注意する」と言っても、なだれから身を守るにはどのようなことに注意をしたらよいのでしょうか。
一言でいうと「なだれが発生しそうな場所に近寄らない」に尽きます。なだれが発生しそうな場所、というのは下記のような条件の場所になります。
・傾斜が35度~45度の斜面
・木がまばらにしか生えていない場所
・高い木が少なく、低木林や草地
なだれには「全層なだれ」と「表層なだれ」の2種類があります。それぞれの特徴と注意ポイントを下記にまとめます。
▼全層なだれの注意ポイント
全層なだれは、春先など寒さが緩んだ時期に起こりやすいのが特徴です。時速40~80km程度と自動車並みのスピードで落下するため注意が必要です。
▼全層なだれが発生しやすい条件
・冬の間一時的に気温の上がる日
・雨が降ったあと
・斜面の雪にひびや、盛りあがった場所があるとき
▼表層なだれの注意ポイント
表層なだれは、冬の寒い時期に発生しやすく、発生地点から遠く離れた場所まで被害の出ることがあり大変危険な現象です。雪の滑り落ちる速度は時速100~200kmにも達するとされ、事前に発生する予測が難しいという特徴があります。
▼表層なだれが発生しやすい条件
・積雪の多い場所でさらに大雪となるとき
・気温が低い日
・氷点下の気温が続き、風の強いとき
今の時期、特に注意が必要なのは「全層なだれ」です。スキーやスノーボードなど、シーズン最後に楽しんでおきたい!と出かける方もいらっしゃるかもしれません。どうかくれぐれも被害に遭わないように情報をしっかり得て、少しでも危険要素があれば山には出ないご決断を。
(防災士・R)