■備えは「その時、できている」ことが重要
こうして言葉にすると、何を当たり前のことを…と思われるかもしれません。例えば地震が発生した時に「備えができて」いれば、避難や対応もスムーズにできるでしょう。備えはいざという時に落ち着いた行動を取るためにも必須です。冷静さを欠くと判断を間違いやすくなり、その間違った判断が怪我や二次災害につながりかねません。
特に地震はいつ起きるかわからない現象です。3月16日に宮城・福島で震度6強の地震が発生したのは23時36分でした。
お風呂上がり、寝巻きを着て裸足で布団に潜り込んでいる方、夕食時にお酒を飲んだ方もいらっしゃるかもしれません。くつろいだり、就寝している方も多い時間帯ではないでしょうか。こんなときに大きな地震が発生したら?停電して真っ暗な部屋の中でどのように避難すればよいのか、シミュレーションはしっかりできていますか?
地震など「いつ発生するかわからない」ことへの備えは、今やっておいても損はありません。「自分は大丈夫」「ここは安心のはず」…こうした“正常性バイアス”といわれる心理が、避難行動を妨げ、結果として災害に巻き込まれる・被害に遭うといったケースがとても多いです。準備と避難は確実に!ご自身と大切な人の命を守る行動をお願いします。
■地震発生!とるべき行動とポイント
▼地震発生「ぐらっときたら、まず身の安全」
*揺れを感じたり、緊急地震速報を受けたら、自身の身の安全を最優先に行動する
落下物から頭を守るためにテーブルの下にもぐる。固定されていない家具から離れ「落ちてこない」「倒れてこない」「動いてこない」空間に身を寄せて、揺れがおさまるまで様子を見る。調理中の場合は台所から離れる。屋外にいる場合はカバンなどで頭を守る。
▼地震直後「揺れがおさまったら、火の始末」
*火を使っているときは、揺れがおさまってから落ち着いて火の始末をする。出火しているときは、慌てず冷静に消火(火が小さいうちに初期消火につとめる)。
阪神・淡路大震災以前は「ぐらっときたら、火の始末」というのが常識でした。現在では震度5弱以上の揺れを感知すると自動的にガスの供給を遮断し、火が消えるようなしくみになっています。揺れている最中に慌てて火を消そうとすると、かえって熱湯や高温の油が飛び散るなど、ケガやヤケドの危険が高まります。実際に大きな揺れの最中には「なにもできない」状態になりますので、まずは自分の身を守ることを最優先にしましょう。
▼地震後「出口の確保・落ち着いた行動」
*揺れがおさまったらすぐに逃げられるよう、避難経路を確保する。避難のときは慌てずに。ガラスの破片や落下物などでケガをしないよう、靴を履く。
靴がないと逃げられません。特に夜間や就寝時など、真っ暗な中で靴を捜すのはとても困難です。靴(と靴下)は枕元に常備するようにしてください。(軍手もあるとさらに安心です)
大きな揺れでドアが変形して室内に閉じ込められてしまう場合もあります。身の安全が確保できたら、すぐにドア(や窓)を開けるようにしてください。※窓は窓ガラスが割れて危険な場合もありますので注意が必要です。
▼「家族(同僚・隣人)の安否確認」
*揺れがおさまったら、大きな声を出してお互いの安否を確認する。
家族がそれぞれ違う場所にいて被災した場合は、災害伝言ダイヤルなどのツールを利用し、自身の安全を伝えてください。また、日頃から被災にあった場合の集合場所や連絡の手段を家族で話し合っていることも大事です。倒れた家具などの下敷きになっている人がいる場合は、協力し合って救出しましょう。
▼「確実に避難」
*近所の火災や津波など、身の危険が迫っている場合は確実な避難を。
沿岸部では津波の危険、また、自宅以外で火災が発生している場合もあります。身の危険を感じたら一時集合場所や避難場所に避難してください。津波警報が発令されたら、高台など安全な場所にすばやく避難します。
避難が必要な際にはブレーカーを切って、ガスの元栓を締めます。
▼「正しい情報収集」
*ラジオやテレビ、行政などからの正しい情報を得る。
間違った情報で行動しないよう、くれぐれも「正しい情報」を得ることを心がけてください。また「災害に備える」ことは、物を買い揃えることではありません。大事な「備え」の基本は以下の3点です。
① 自身のいる場所のリスクを把握する(どんなリスクがあるのか理解しておくこと)
② 災害によって、どう避難するのがよいか考える(災害によって避難方法は違いますよね)
③ その時の行動を書き出しておく
▼日頃からできることは
*飲料水や食糧は少し多めにストックする。
特別な非常食でなくてもレトルト食品や菓子類などでもOK。ローリングストックを心がけ、いつも少し余分をストックしておき、消費期限がきたら入れ替えることを定期的に行うようにしましょう。
(防災士・R)