暦の上ではもうすぐ「立春」。1年で最も寒い時期に「春」と言われてもピンとこないかもしれませんが、星空も季節は進んでいます。暗い夜空に華やかな冬の星座が煌めく期間も残りわずか。夜の時間が長く空気が乾燥している今こそ、天体観察を存分に楽しみましょう。
■とても明るいのに北半球では見えにくい、カノープスってどんな星?
カノープスという星の名前を聞いたことがありますか? 本コラムでも過去に何度かご紹介させていただきましたが、カノープスはりゅうこつ座のα星で、太陽を除くとおおいぬ座・シリウスの次に明るい恒星です。りゅうこつ座は南十字星やケンタウルス座に並んで代表的な星座として知られるほどで、ニセ十字なんてあだ名もあるほど。ちなみにりゅうこつは竜骨と書き、以前はギリシア神話に登場する船・アルゴーにちなんだアルゴ座の一部でした。ただ、南半球ではとても見やすい星座ですが、北半球でその姿を見るのは場所も時期も限られていますので、こんなに明るい星にもかかわらず、普段は滅多に見られないのです。
カノープスを見ることができる北限は福島県北端付近で、それより北の地域になるとカノープスが地平線より上に昇らないため見ることができません。
■限られた地域ではあるけれど、2月は観察のチャンス!
2月はカノープスが夜明け前に南中しますので、観察の絶好の機会です。晴れた夜にカノープスを探してみてください。南の空が開けた場所で、南の地平線近くの低い空に(場所によっては地平線すれすれで)カノープスを見つけることができます。見つけるための目印はシリウスです(上図参照)
2月の各地でのカノープスの南中高度と南中時刻は下記になります(参照:国立天文台HP)
北半球で見るのは難しい星、見られたら長生きできる!?…中国ではカノープスを「南極老人星(なんきょくろうじんせい)」と呼んで長寿や幸福の象徴とし、この星を見ると寿命が延びるという言い伝えがあるそうです。
(コラム担当:F)