2022年1月16日、南太平洋のトンガ付近で大規模な噴火が発生しました。これまでにあまり知見のなかった事由で津波が発生、噴火場所から8,000kmも離れた日本にも到達、太平洋沿岸の広い地域で津波警報や注意報が出ました。
警報や注意報は一旦解除されましたが、潮位が上昇する可能性などもあり、まだ油断はできません。日本から離れた、例えば地球の裏側のチリで発生した地震によって起きた津波で影響を受けた過去もあります。三陸海岸で8mを超える津波が到達して甚大な被害がありました。
今この瞬間も、何が起きるかわかりません。「日頃からの備え」という言葉の意味を、今一度ご家族皆さまで話し合っていただけるとよい機会ではないでしょうか。
■大事なのは命を守ること。避難=避難所に行くこと、ではない!
報道番組などで「身の安全を確保してください」という言葉を使っている場合が多く見られますが、そのとおり、「避難とは避難所に行くこと」ではなく「自身の身の安全を確保する」ことです。映像には避難場所が映し出されている場合が多いですが「避難所に行こう!」という意味ではありません。
例えば、津波が到達する危険のある地域にお住まいの方は、津波が来ない高い場所への移動が必須になります。崖崩れや河川の氾濫の危険があれば、その被害に遭わない場所に移動することが必須になります。こうしたリスクのない地域で、頑丈な家に住んでいるなら「家にいることで身の安全を確保」することが可能です。例えば台風などで雨や風が強い中、危険を冒して移動する必要はありません。
「避難グッズ」にしても同じこと。何か大きな災害が発生した直後にはホームセンターなどにいろいろなものを買いに走る方が一定数いらっしゃいます。でもわざわざ「非常用○○」と名称のついたものを購入しなくても、日頃から「ストックを少し」を意識してそれらを定期的に循環させることで、特別なものを用意しなくても良いのです。
アウトドアを楽しんでいる方なら、キャンプ用品がいざというとき役立ちます。カセットコンロのガスを少し多めにストックしておくことで、停電時に利用することもできます。
それよりも大事なのは、すぐ逃げられる準備を常にしておくこと。小さめのリュックに本当に必要なものだけ入れ、避難の一報があったら悩んだり迷ったり探したりすることなく、それをすぐに持って出られる状態にしておくことが重要です。
「災害に備える」ことは、物を買い揃えることではありません。大事な「備え」の基本は以下の3点です。
① 自身のいる場所のリスクを把握する(どんなリスクがあるのか理解しておくこと)
② 災害によって、どう避難するのがよいか考える(災害によって避難方法は違いますよね)
③ その時の行動を書き出しておく
日頃からできることは
*飲料水や食糧は少し多めにストック
特別な非常食でなくてもレトルト食品や菓子類などでもOK
地震など「いつ発生するかわからない」ことへの備えは、今やっておいても損はありません。
「自分は大丈夫」「ここは安心のはず」…こうした“正常性バイアス”といわれる心理が、避難行動を妨げ、結果として災害に巻き込まれる・被害に遭うといったケースがとても多いです。準備と避難は確実に!ご自身と大切な人の命を守る行動をお願いします。
■コロナ禍の避難について
今年は「コロナ禍における避難」になります。避難所や避難場所で「3密」を避けるために工夫が必要になります。マスクや消毒液などを持参することも忘れずに!もちろん、避難するときに持ち出すリュックなどに予備を入れておくことも大切です。
■避難場所を考える
避難は避難所や避難場所に行くことだけではありません。命を守るために安全な場所に移動することを意識し、安全な建物にお住まいの知人や親戚の家に避難することなど、選択肢をいくつか考えて冷静に動ける今のうちに家族で相談・判断をしてください。
(防災士・R)