2021年の気象を振り返る① 熱海の土石流

「コロナ禍」のまま迎えた2021年は、北陸を中心に降り続いた記録的な大雪からスタートしました。多くの車両が立ち往生し、自衛隊が出動する事態に。新しい日常、マスクの常時着用、行動を制限された期間もあり、「with コロナ」の生活が長引きました。そんな中でも新しい商品やサービスが次々と提供され、コロナ以前にはわからなかった魅力に初めて気づいた!と何かに夢中になった方もいらっしゃるかもしれません。
さて、毎年恒例の「気象を振り返る」コラムは、お馴染み・がんちゃん気象予報士に3つの事象を解説していただきたいと思います。第1弾はこちらです。


【熱海の土石流】

7月に入ってすぐ、太平洋高気圧の強まりとともに梅雨前線が活発化し、本州の南岸沿いにまで北上した。2日には沖縄で梅雨明けの発表があったが、平年より11日遅れで歴代6番目の遅さとなった。梅雨期間は58日間で4番目の長さだった。

東日本では梅雨前線の活動が活発となり、3日は静岡県から神奈川県にかけて記録的な大雨となった。24時間雨量は箱根町で500mm(総雨量800mm)を超えたほか、海老名市、木更津市など首都圏平野部でも200mmを超えて特別警報級の雨量となった。

発達した雨雲が線状に連なる (参照:気象庁 (左)レーダ 03日06時 (右)土砂災害危険度 (03日08時)

伊豆半島でも6月27日から降り出した雨が次第に強さを増して、網代のアメダス観測によると7月1日は110.5mm、2日は161mm、3日は140mmという長時間継続型の大雨になった。当該期間中に30mm/hを超える激しい雨は観測されていないが、強い雨が断続的に降り続いて総雨量が400mmを超えた。
これらの大雨で地中には大量の水分が蓄積されることになり、3日午前10時半ごろ熱海市伊豆山地区では大規模な土石流が発生し、住宅などが流されて約20人余が安否不明となった。(気象予報士:がんちゃん)

24時間500mm超のところも (参照:気象庁 アメダス)


この事象で残念ながら尊い命が奪われました。当該地区はハザードマップでも土砂災害警戒区域に含まれていたようですが、大雨だけでなく、その後、盛り土問題などについても指摘され現在調査が進められています。災害発生の様子を映像などで見ると、大量の土砂がものすごいスピードで襲ってくることがわかります。あんな速さでは、とても逃げている時間はありません。
土砂崩れや地滑りは、雨が降っている最中だけでなく止んだ後も気をつけなくてはなりません。ご自身がお住まいの地域のリスクについて、今すぐ把握してください。ご家族皆さまで「避難は早め!」を合言葉に、日頃から「何かある前に逃げる」を共有し心がけてください。

(防災士・R)

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