【天体観測】2021年締めくくりは「ふたご座流星群」

師走に入り初っ端から天気が大荒れ、猛烈な雨や風、雷といった激しいスタートとなりました。昨年に続いてコロナ禍で迎える師走となりましたが、残り1ヶ月を心身ともにできる限り健やかに過ごしたいですね。12月の夜空には金星がキラキラと煌めき、「ふたご座流星群」がピークを迎え、地球から最も遠い満月が今年最後の満月となります。

■14日にピーク!ふたご座流星群

「2021年ふたご座流星群」は12月14日16時頃にピークを迎えると予想されています。ピークの時間は日本では夕暮れ時で星は見づらいですが、ふたご座流星群の活発な時間は比較的長いため、前後の日も合わせて空を見上げてみてください。
最も観察しやすいのは12月13日の夜から14日明け方にかけてと、14日の夜から15日明け方にかけて。特におすすめの観察時間は14日未明(2時〜5時頃)です。観察に適した条件(月明かりや街灯りの影響を受けない暗く、開けた場所で観察)では、1時間あたり40個から50個の流星が見られるとされています。
ふたご座流星群は、しぶんぎ座流星群(1月)、ペルセウス座流星群(8月)と並んで「3大流星群」と呼ばれ、年間で何度かある「流星群」観察のチャンスのうち、比較的観察しやすい流星群です。

画像:国立天文台HP

流星は空全体に現れますし、いつどこに出現するかわかりませんので、できる限り空の広い範囲を見渡すようにしてください。目が暗さに慣れるまである程度時間がかかるといわれておりますので、15分以上観察を続けましょう。15分空を見上げるのは、かなり首が疲れます。可能ならレジャーシートなどを敷いて寝転んで観察すると楽ですが、寒い季節ですので防寒対策をしっかりと。事故に遭わないよう周囲にも十分注意し、マナーを守って観察してください。

■いつも以上に輝く金星にも注目

太陽が西の空に沈んだ直後に輝く金星は「宵の明星」と呼ばれ、太陽系の惑星の中でも観察しやすい星のひとつです。金星は今月4日に明るさが最大となる「最大光度」となり、夜の暗さにならなくても見えることがあります。
金星は約1年7カ月の周期で満ち欠けしており、最大光度の頃には三日月のように欠けた金星が見られます。大きさや形の変化を観察するには双眼鏡や望遠鏡が必要になりますが、絶対に太陽を見ないよう注意し、ブレ防止に三脚などを使って観察してみてください。

画像:国立天文台HP

■今年最後の満月は今年最少

地球の周りを公転している月の軌道は楕円形のため、地球と月との距離は日々変化しています。その上、月の軌道は太陽や地球などの重力の影響も受けて変化するため、満月や新月のときの地球からの距離は毎回異なります(図参照)。いわゆるスーパームーンなどと呼ばれる満月は、地球から近い距離の月のこと。ちなみに今年地球に最も近かったのは5月26日の満月でした。この時の満月と比較すると約12%小さく、明るさも22%程度少ない(暗い)のですが、図のように月を並べて比較することはできないため肉眼でその違いを実感するのはかなり難しいと言えるでしょう。

画像:国立天文台HP

コロナに関するニュースには引き続き注意が必要そうで、なかなか安心できる状況にならないもどかしい日々が続きます。たまには空を見上げて星や宇宙に心をよせ、日常の煩雑なあれやこれやをちょっと忘れる時間を持つのも良いかもしれません。これからどんどん寒さも増してきますので、どうか健康にはくれぐれも留意してください。

(コラム担当:F)

 

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