11月19日(金)、全国で部分月食が見られます。この月食は部分月食ではありますが、月の大部分が影に入り込む「たいへん深い」部分月食です。
■「たいへん深い」とは?
月食は月が地球の影に入って隠れる現象で、太陽と地球と月が一直線上に並ぶ時にしか起こりません。月食が起こるのは満月の頃だけですが、太陽の通り道に対して月の通り道が傾いているので、毎月起こるというものでもありません。
月を隠してしまう地球の影は2種類あり、「本影(太陽の光がほぼさえぎられる濃い影)」と「半影(薄い影)」のどちらに入り込むかによって、月食の呼び方が変わります。このうち「本影」に入るものを「本影食」といい、いわゆる月食とはこの状態のことになります。そして、この影に月の一部だけが入ってしまう現象が「部分食」、全部が入る現象が「皆既食」です。
地球の影に月がどの程度入り込むか(影で覆われる月の直径の度合い)を「食分」という数値で表し、値が1.0以上で皆既月食となります。今回の月食は部分食ですが、最大食分が0.978で部分月食としてはとても大きな値となります。月の直径の97.8%が影に入り込むことを意味し、ほとんどが隠れるイメージで、このような月食を「たいへん深い部分月食」と表現します。
■観察のススメ
11月19日の月食の始まりは16時18分頃からですが、東北以北を除く地域では月食の始まりの時間が月の出の時間よりも早いため、月が欠けた状態で空に昇る「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」になります。
食の最大は18時02分頃となります。今回は「たいへん深い部分月食」なので、皆既月食の場合に見られる赤銅色(月が完全に影に入ったとき、赤黒くなること)のような色に見えるかもしれないですね。
観測時間については、一部の地域だけですが下記表を参考にしてください。
太陽が西の空に沈む時間がどんどん早まって夜の時間が長くなっています。空気が乾燥し、天体観測もしやすいシーズンですので、今回の「たいへん深い」珍しい部分月食、お見逃しなく!ただ、気温がかなり低くなってきていますので防寒対策をしっかりと、安全にも気をつけて観察してください。
(コラム担当:F)