紫外線対策・特に守りたいのは「眼」

紫外線の概要について「もう夏日!? 春でも油断ならない「紫外線」」でざっくりとお伝えしましたが、具体的にどのようなことに注意し、どんな対策をすれば良いのでしょうか。

■UVインデックス

UV対策の一つの参考値としてUVインデックスがあります。UVインデックスとは紫外線の強さを表すもので、地表に届く紫外線の量、人体への影響の大きさなどで計算されたもの、と思っているとわかりやすいかもしれません。
UVインデックスで表される紫外線の強さは、下図のような5段階に分類されます。

(参考:WHO:Global solar UV index-A practical guide-2002)

参考までに、昨年(2019年)4月・5月のつくばにおける日最大UVインデックス(解析値)の月間推移グラフがこちらです。

グラフ:気象庁HP

グラフを見ると4月・5月ともに6〜7(強い)日が12日、5月に入ると8〜10(非常に強い)日が8日も観測されており紫外線対策が必須であることがわかります。
UVインデックスの図内にも書かれているように「日陰を利用する」「長袖や帽子の着用、日焼け止めの塗布」など、できるかぎり肌に直接日光を当てないようきちんと対策を講じることが大切です。そしてこれらに加えてさらに重要なのが「サングラスの着用」など、眼を守る紫外線対策です。

■紫外線による影響「急性」と「慢性」

紫外線の体への悪影響については前回でも少し触れましたが、皮膚への影響については、日光を浴びてすぐに症状としてあらわれる急性傷害と、長い年月をかけてあらわれる慢性傷害の2種類があります。

<急性傷害>
紫外線を浴びることで皮膚に炎症が起こり、赤くなって痛みを伴う日焼け(サンバーン)と、その後で黒っぽくなる日焼け(サンタン)があります。
サンバーンは日光にあたって数時間後から炎症が起こりますが2〜3日で落ち着きます。ただ、日光にあたりすぎると水ぶくれなどに発展して皮がむけたりすることも。海遊びなどでちょっと日焼けをしすぎたかな、と思ったときは早めに対処しましょう。冷たいタオルを日焼けした場所にあてるなど、日焼けした皮膚を冷やすことが重要です。
サンタンは日光にあたって数日後に肌の色が濃く(黒っぽく)なり、その状態が数週間から数ヶ月程度続きます。これは肌の色素細胞が紫外線によって刺激されたことでメラニンをたくさん作るために起こります。
※ 日光によって皮膚が腫れたり水ぶくれが悪化するなどの症状があらわれた場合は皮膚科など病院できちんと診てもらうことをお勧めします。

<慢性傷害>
皮膚のシミ・しわのほかに、場合によっては良性、悪性の腫瘍があらわれることがあります。ご高齢の手の甲などにみられることが多く「老化」と思われがちですが、加齢だけが原因ではなく、紫外線による慢性傷害による「光老化」でもあります。「光老化」については、紫外線を効果的に防ぐことで緩和することが期待できます。紫外線による皮膚の腫瘍は良性のものと悪性のもの(皮膚がん) がありますので、こちらに関しても医師の診断をお勧めします。

■とても怖いのが「眼」への影響

紫外線の「眼」に対する影響は大きく、とても怖い特徴のひとつです。紫外線は“見えない”分、どれくらいの量が入ってきているのかもわからず、危険に気付きにくいといえます。
紫外線の多くは眼球の表面の角膜や水晶体で吸収されますが、わずかながら水晶体を通過して網膜まで到達するものもあり、眼に悪影響を与えます。急性の紫外線角膜炎、慢性の翼状片(よくじょうへん)、白内障などが知られています。
・紫外線角膜炎については「雪目」などが有名で、大抵の場合は紫外線を浴びた日の夜から翌朝にかけて発症し、1〜2日のうちに自然治癒するといわれています。
・翼状片は眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する線維性の増殖組織で、放置し悪化すると視力障害をきたす原因になりかねません。
・白内障は眼の病気としてとても多い症状で、レンズの役割を担っている水晶体が濁って網膜に光が届きにくくなり、見え方の質が低下、さらに悪化すると失明の危険もある恐ろしい疾患です。

※サングラスの性能も各種あるようですので、UVカットがしっかりできるものを選ぶように心がけましょう。購入の際は専門家に相談してから購入することをお勧めします!

■悪いことばかりじゃない? 紫外線の重要な働き

前回から紫外線の注意すべき点や怖い面ばかりお伝えしましたが、紫外線はビタミンDの生成に必要で人にとって有益な役割もあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を増加してくれる重要な要素。これが不足するとカルシウムを摂っていても体内に十分に吸収されず、カルシウム不足となって健康上よくない状態を引き起こします。とはいえ、必要なビタミンD生成のために健康被害を及ぼすほどの日光浴が必要か?というと決してそんなことはありませんし、天候や季節など諸条件が絡むので「1日○分」と明言されたガイドラインもありません。

紫外線に関して良い・悪いは、あくまで「人間からみた勝手な言い分」ではありますが、太陽の光がないと私たち人間の生活そのものがないこともまた事実です。良い部分だけを取り入れられるよう、日頃から紫外線対策をしっかりすることを心がけましょう。

参考:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020

(健康管理士:R)

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