最初の「緊急事態宣言」の発令から1年が過ぎ、「コロナ禍」という言葉が使われ始めてからも同じ長さの月日が流れました。今もなおコロナの勢いは衰えることを知らず「もう我慢の限界!」という声も多く聞かれるさまざまなニュースが毎日メディアで報道されています。「新しい日常」と言われ、生活が大きく変わったことによるストレスを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。ただでさえ、春はなにかと不調が出やすい時期ですが「ストレス」もそのうちの大きな原因のひとつ。2回に分けて「ストレス」についてお伝えします。
ストレスを引き起こす「ストレッサー」
ストレス、と聞くと現代の産物のように聞こえるかもしれませんが、歴史を辿るともとは物理学で使われていた用語で「外部から与えられる力による物質のゆがみ」を意味していたようです。これがヒトに対して使われ始めたのは1936年頃。カナダの生理学者が学説論文の中で医学用語として発表したことがきっかけと言われています。
この学者は「外部環境からの刺激によって引き起こされる生体内の変化した状態」であり、「ストレス状態を引き起こす外部からの刺激」をストレッサーと定義しています。さまざまな種類の刺激(ストレッサー)がありますが、どれに対しても同じような反応(非特異的反応)が身体に生じ、この反応はストレスに適応しようとするための反応で「全身適応症候群」と呼ばれます。
ストレッサー(ストレスとなりうる「刺激」)とは
ストレスの原因には「これ」といった決まりがあるわけではなく、個人差もありますが、以下のように3つに分類されます。
■社会生活の中でもたらされる
<社会的ストレッサー>
・人間関係のトラブル・忙しい・いじめやパワハラ・仕事の重責・リストラ・家族の死・離婚、結婚・失恋・失敗…など
■環境によるもの
<物理的ストレッサー>
・暑い、寒い・騒音・振動…などによる刺激
<科学的ストレッサー>
・有害物質・タバコ・薬品…などによる刺激
■体調不良によるもの
<生物的ストレッサー>
・細菌・ウイルス・カビ・花粉・ホコリ…など
<身体的ストレッサー>
・疲労・不眠・ケガ・病気・腰痛・肩こり…など
1967年に発表されたストレスを数量化した一覧「社会適応評価表」を見ると「離婚」だけでなく「結婚」もストレスの原因として(点数)が高く上位にあります。これは少し意外な気がするかもしれませんが、環境や状況の変化につながることが高い点数となりうるということがわかります。喜ばしいことでも辛いことでも「変化」はヒトを疲弊させます。1年間の合計が300点以上になってしまうと、ストレスを起因とする不調や病気になるリスクが高いとされています。
1:配偶者の死(100)
2:離婚(73)
3:別居(65)
4:懲役(63)
5:家族の死、あるいは障害(63)
6:自身の病気(53)
7:結婚(50)
8:解雇(47)
9:離婚調停期(45)
10:退職(45)
11:家族の病気(44)
春は季節の変わり目で、気温の変化が激しく<環境によるストレス:物理的ストレッサー>がかかり、昼間の時間が長くなって活動時間やパターンが変わって睡眠不足を感じやすく<体調不良によるストレス:身体的ストレッサー>、花粉や黄砂の飛来<体調不良によるストレス:生物的ストレッサー>、入学・入社、転職や引っ越し、その上コロナ禍で日常が一変<社会生活によるストレス:社会的ストレッサー>などなど、ストレスがあまりにも積み重なる季節ですので、注意が必要です。次回は具体的な対策についてお伝えします。
(健康管理士:R)