例年よりも少し早めに珍しく「広島から」スタートした桜の開花、関西で3年ぶりに吹きあれた「春一番」、東京でも10年ぶりに観測された「黄砂の飛来」など、春の話題がもちきりでしたが、天体も季節は冬から春へ移ろっています。
東京の冬至(2020年12月21日)と清明(4月4日)を比較してみると
2020/12/21 日の出 06:47 日の入16:32
2021/04/04 日の出 05:24 日の入18:05
日の出は約1時間20分早く、日の入りは約1時間30分遅くなり、日照全体では3時間近く伸びて明るい時間帯が多くなりました。3月20日の春分以後は昼間の時間の方が長くなっており、夏至に向けてさらに日が伸びて主役は昼間になりますが、寒さが緩和した分、星の観察もしやすくなる季節、と前向きにとらえて4月の星空についてお伝えします。
■火星の見頃、月との接近
太陽が沈んだ西の空を探してみましょう。昨年の秋に最接近を迎えた頃と比べると少し明るさは控えめながらも、火星は個性的な赤い輝きを放ちます。17日頃には赤い火星と月齢5.4の上向きに欠けた月が接近します。落ちてくる赤い宝石(火星)をお皿(月)が受け止める、子どもの頃に愛用していたシューズのマーク、さまざまな想像が膨らみそうなコラボレーションが観察できそうです。
ちなみに日本からは見られませんが、アフリカからインドシナ半島にわたる地域では「火星食」(月が火星を隠す)が観測できるそうです!
■月と惑星
7日〜8日は土星と木星の近くを細い月が通り過ぎます。日の出前の南東の空、低いところを探してみてください。周りにはあまり明るい星がないため、土星や木星は簡単に見つけることができます。
■冬の大三角から春の大三角へ
オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスからなる冬の大三角は西へと去っていき、春の大三角と交代します。北斗七星から伸びる大きなカーブ「春の大曲線」がうしかい座のアークトゥルスとおとめ座のスピカを結び、この二つの星としし座のデネボラを結ぶと春の大三角です。夜空の大きな三角や四辺形、星座や星で春夏秋冬を楽しんでみてください。
■こと座流星群が極大
4月22日頃、こと座流星群が極大を迎えます。見頃は22日深夜~23日未明、月が沈んだ後は条件もまずまずなので、週の中日ではありますがぜひ観察してみてください。運が良ければ1時間に5個程度の流星がみられるかもしれません。できる限り暗い開けた場所での観測がお勧めですが、くれぐれもマナーを守り、ご自身の身を守りながら楽しんでください。
<注意> 日の出日の入りの観測には注意が必要です!絶対に太陽を見ないようにしてください!
夜の時間が短くなるだけでなく、花粉や黄砂、空気中の水蒸気が増える季節でもありますので、空の様子がハッキリ見られない夜も多いですが、晴れた日の夜は積極的に空を見上げてみてください。
(コラム担当:F)