平成30年7月豪雨、令和元年8月の前線に伴う大雨、令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風、そして今回の令和2年7月豪雨。台風や大雨によって甚大な被害を伴う災害が、この3年間で多数発生しています。その要因のひとつとして「雨量の増加」があげられます。下図2点は気象庁ホームページに掲載されていたグラフと、その解説になります。
•全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は増加しています(統計期間1976~2019年で10年あたり28.9回の増加、信頼度水準99%で統計的に有意)。
•最近10年間(2010~2019年)の平均年間発生回数(約327回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985 年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1.4倍に増加しています。
•2020年1月から6月までの1300地点あたりの発生回数は76回です。
・全国の日降水量200mm以上の年間日数は増加傾向が現れています(統計期間1976~2019年で10年あたり27.6日の増加、信頼度水準95%で統計的に有意)。
・最近10年間(2010~2019年)の平均年間日数(約262日)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985 年)の平均年間日数(約160日)と比べて約1.6倍に増加しています。
・2020年1月から6月までの1300地点あたりの発生回数は44回です。
年によってばらつきがありますが、総じて見てみるとどちらも右肩上がりに増えていることがわかります。降水量の増加は、災害発生の増加に直結します。
下図は水害による被害額と水害密度(注:水害密度 = 一般被害額/浸水面積のこと。一般被害額は家屋、家庭用品、事務所資産等の被害額や応急対策費、営業停止損失額等の合計。公共土木施設や公共事業の被害額は含まない)をグラフにしたものですが、1990年頃から急激な上昇をしていることがひと目でわかります。
戦後様々な治水対策が進展し、全国的にみると浸水面積は減少傾向にあるが、近年、水害による被害額は増加傾向。
過去5年間の水害被害額の平均をとって各年ごとに比較すると、1995年の一般資産被害額約1622億円が、2004年には約4360億円(95年の価格換算で)。10年間で2.6倍以上に急騰。浸水面積1ha当たりの被害額である水害密度は、1995年の約2123万円に対し、2004年には約4494万円と、10年間で2倍以上に。
「水災害」は、確実に増えている、といった現状があります。ですが、災害時においても「避難勧告」が発令されたらさっさと避難する人、「避難指示」が出ても避難せず、逃げ遅れて災害に巻き込まれてしまう人…同じ情報を得ても、人によって行動が全く違います。この違いはどこからくるのでしょうか? ライフレンジャーでは「対策に関する心理」について、心理学者・島崎 敢(しまざき かん)先生にお話を伺いたいと思います。島崎先生のお話は次回掲載させていただきます。
(アール)