紫外線の概要について「紫外線の悪影響から身体を守ろう!〜紫外線の基礎知識〜」でざっくりとお伝えしましたが、具体的にどのようなことに注意し、どんな対策をすれば良いのでしょうか。対策の基準となる値をはじめ、具体策をお伝えします。
■UVインデックス
UV対策の一つの参考値としてUVインデックスがあります。UVインデックスとは紫外線の強さを表すもので、地表に届く紫外線の量、人体への影響の大きさなどで計算されたもの、と思っているとわかりやすいかもしれません。
UVインデックスで表される紫外線の強さは、下図のような5段階に分類されます。
(参考:WHO:Global solar UV index-A practical guide-2002)
参考までに、昨年(2019年)5月の東京における日最大UVインデックス(解析値)の月間推移グラフがこちらです。
(グラフ:気象庁HP)
半数以上の日で6〜7(強い)、8〜10(非常に強い)の日も2日間観測されており、5月には紫外線対策が必須であることがわかります。
UVインデックスの図内にも書かれているように
・日陰を利用する
・長袖や帽子の着用、日焼け止めの塗布
をできるかぎりきちんと行うことが大切です。そしてこれらに加えてさらに重要なのが「サングラスの着用」など、眼を守る紫外線対策です。
■紫外線による眼への影響が怖すぎる!
前回も少し触れましたが、紫外線の「眼」に対する影響も大きいのも怖い特徴のひとつです。“見えない”分、どれくらいの量が入ってきているのかもわからないため、気付きにくいですよね。
紫外線の多くは、眼球の表面の角膜や水晶体で吸収されますが、ほんのわずかのものが水晶体を通過して網膜まで到達し、眼に悪影響を与えます。急性の紫外線角膜炎と慢性の翼状片(よくじょうへん)、白内障などが知られています。
・紫外線角膜炎については「雪目」などが有名で、大抵の場合は紫外線を浴びた日の夜から翌朝にかけて発症し、1〜2日のうちに自然治癒するといわれています。
・翼状片は眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する線維性の増殖組織で、放置し悪化すると視力障害をきたす原因になりかねません。
・白内障は眼の病気としてとても多い症状で、レンズの役割を担っている水晶体が濁って網膜に光が届きにくくなり、見え方の質が低下、さらに悪化すると失明の危険もある恐ろしい疾患です。
※サングラスの性能も各種あるようですので、UVカットがしっかりできるものを選ぶように心がけましょう。購入の際は専門家に相談してから購入することをオススメします!
■悪いことばかりじゃない? 紫外線の重要な働き
前回から紫外線の注意すべき点や怖い面ばかりお伝えしましたが、紫外線にはヒトに有益な役割もあります。紫外線はビタミンDの生成に一役買ってくれている、ということです。ビタミンDはカルシウムの吸収を増加してくれる重要な要素。これが不足すると、カルシウムを摂っていても体内に十分に吸収されず、カルシウム不足となって健康上よくない状態を引き起こします。
とはいえ、必要なビタミンD生成のために健康被害を及ぼすほどの日光浴が必要か?というと決してそんなことはありません。天候や季節など諸条件が絡むので「1日○分」と明言されたガイドラインはありません。紫外線に関して良い・悪いは、あくまで「人間からみた勝手な言い分」ではありますが、太陽の光がないと私たち人間の生活そのものがないこともまた事実です。夜しか活動しないとか、暗室に引き篭もった毎日にならない限り多かれ少なかれ日光を浴びていると思いますので、日頃から紫外線対策をしっかりすることを心がけるようにしましょう。
参考:環境省 紫外線環境保険マニュアル2015
(アール)