冬の夜空は空気が澄んでいて星空を観察するのに最適な季節です。大きな理由の一つが「湿気が少ない」こと。空気中に湿気の成分(水蒸気)が含まれる量が少ないと、視界を遮る物質も少ない=クリアにきれいに見えやすい、ということになります。また、冬至の前後は夜の時間が長く、星を観察できる時間も長くなるということですね。
さて、最も寒くなる2月は、普段滅多に見られない星を観察するチャンスがやってきます。今日はその情報についてまとめてみたいと思います。
■太陽に最も近い惑星「水星」
同じ太陽系銀河にありながら、ほかの惑星と比べてなかなか見る機会がない「水星」。なぜなら、太陽に一番近く「見かけの位置」も太陽と近いので、とても見つけにくいのです。水星を見つけるには、水星が太陽からの「見かけの位置」から離れた状態「最大離角」になることが必須。その時期が2月上旬~中旬にかけて訪れます。
画像:国立天文台HP
この図のように、水星は2月10日に東方最大離角を迎えます。2月4日を過ぎたあたりから半ばころまで、太陽が沈んでから30分前後程度が水星を観察するゴールデンタイム。
高い建物や山がなくできる限り遠くまで見渡せる場所・西の空がよく見える場所を選んで空の低い位置を、目を凝らして観てみましょう。太陽が完全に沈んでからの観察がおススメです。くれぐれも双眼鏡などで太陽を直接見ないよう気をつけてくださいね。
■寿命が延びる?伝説の星「カノープス」
カノープスはりゅうこつ座のα星で、太陽を除くとシリウスに次いで2番目に明るい恒星ですが、普段はなかなか見られません。カノープスは南の空の低い位置にあるため、日本の多くの地域ではとても見つけにくいのです。見ることができたとしても空の低い位置で赤みを帯びた色に減光してしまい、シリウスに次いで明るい状態で見ることはできないから、なんです。ちなみに、北日本では地平線より上に昇ることがなく、観察は不可能。福島県北部付近の方がかろうじて見つけられる北限で、南にいくほど見つけやすくなります。
画像:国立天文台HP
見つけにくいこの星を見ると寿命が延びるという伝説もあり、中国では「南極老人星」という別の呼び名もあるとか。カノープスを見つけるには、21時前後に南の方が開けた空を見上げ、冬の大三角やおおいぬ座のシリウスを目印にするとよさそうです(上図参照)。
普段滅多に見られない星だけでなく、月や慣れ親しんだ惑星も美しく見える冬の空。
インフルエンザや新型コロナウイルスが猛威をふるい、落ち着かない気持ちになったり、不安も大きいと思いますが、正しい情報を得てしっかり対策をしてください。
星空を見ることでストレスにさらされた心を癒してあげるのも、良いかもしれませんね。
寒い時期ですので防寒対策はしっかりと!
(アール)