肝臓に負担をかけないビールの摂取量目安は1日500ml程度まで !?

いつまでも暑さが続くと思っていたらいきなり冬がやってきて、気づけば2019年も残すところあと数日となりました。これから年末年始に向けて、クリスマスや忘年会、新年会などで外食やお酒の席も増える時期ですが、気をつけていただきたいのが、今回お話する「肝臓」です。

肝臓の働き3つ

●栄養素の貯蔵と加工をしてくれる
肝臓は栄養素を貯蔵したり、私たちのカラダで栄養素を使いやすくするための加工を行なっています。
例えばタンパク質。タンパク質は消化管でアミノ酸になるまで分解されて、門脈(もんみゃく)という管を通って肝臓に運ばれます。肝臓ではこのアミノ酸を再度繋げて、人間のカラダにマッチするタンパク質に作り変えます。ほかにも脂質・糖質・ビタミンやホルモンの貯蔵、放出をしています。

●有害物質を解毒してくれる
体内の老廃物や、体外から取り入れられた有害物質を分解・無毒化しています。無毒化された毒物は、尿などと一緒に体外へ排出する働きもしてくれます。
例えばアルコールの分解。肝臓のアセトアルデヒド脱水素酵素が、アルコールの中間代謝物質(アセトアルデヒド)を酢酸に変えて、最終的には害のない炭酸ガスと水にまで分解し、呼吸(吐く息)や尿と一緒に体外に排出させます。

●胆汁を作ってくれる
食物の消化や吸収にとって重要な役割をしている「胆汁」を作ってくれます。肝臓は休みなく胆汁を作り、その量は1日に0.5〜1リットルにもなります。

●赤血球を分解してくれる
古くなった赤血球の中のヘモグロビン(血色素)を分解し、鉄を生成します。この鉄は新しい赤血球の材料になります。これと同時に上記の胆汁をつくるもとになるビリルビン(黄色い色素)も生成しています。

このように肝臓は、さまざまな物質を分解・加工・貯蔵してくれ、有害な物質を無毒化してくれたり、私たちが「生命を維持」する上でとても重要な役割を担ってくれています。
では、年末年始に摂取の機会が増える「アルコール」について、代謝のしくみに少し触れたいと思います。

▼お酒(アルコール)を飲むと

①まずは口→食道を通って胃に運ばれます
②約20%は胃から吸収され、約80%は小腸から吸収されます
③門脈を通って肝臓へ運ばれます
④肝臓で代謝(解毒)されます
⑤無害な酢酸に分解されると全身(血液)へ
⑥全身を巡る間に、炭酸ガスと水に分解され、汗・尿・呼吸として体外へ排泄されます

この働き・役割をみると「暴飲暴食」が肝臓の負担を増やすことが、なんとなくおわかりいただけるのではないかと思います。ところが肝臓は余力のある臓器で、病気になったとしてもなかなか自覚症状が現れません。「沈黙の臓器」と表現されるように、気づいたときにはかなり病気が進行していた!なんて事態になるケースも多いようですので、くれぐれも無理をしないよう心がけてください。

あくまでも参考値ではありますが、肝臓に負担をかけすぎないための1日あたりの純アルコール摂取量と、目安は下記の通りです。

男性:40g程度
女性:20g程度

*ビール(約5度)500ml(中瓶1本)
*ワイン(約12度)210ml(ボトル1/3程度)
*日本酒(約15度)170ml(1合程度)

毎日飲み続けるのではなく、「休肝日」を設けるように心がけてくださいね!

(アール)

シェア!