ローリングストック(循環備蓄)とは、日頃から利用している食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限の古いものから消費し、その分を買い足す(循環させる)ことで常に一定量の食品を家庭で備蓄している状態を保つための方法です。
災害用の「非常食」だけでなく、日常で使用でき災害時にも使えるものを「ローリングストック」としてバランスよく備えることが推奨されています。
災害時に必要な食料は?
災害のタイプにもよりますが、大きな災害が発生し広域にわたって被害があると、公的な支援物資がいつ届くかわかりません。過去に起こった大きな震災のとき、店には人が殺到し、すぐに商品が無くなったり、日頃の何倍もの価格になったりといった事例がありました。
家庭での備蓄は3日分あれば十分と言われていましたが、今後の災害の規模を考慮し「1週間」以上の備蓄が望ましいという専門家の指摘もあります。「 備蓄を1週間分」となると保管場所もふくめ、頭を悩ませる方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆる「非常食(=災害時用の特別食)」に限らず、冷静な目で見てみると、日頃使っているものが「1週間分の備蓄」になるものが結構あるんです。
やり方は簡単です。買い物の際、いつもより少しだけ食材を多めに買い置きしておくだけ。災害発生から3日間は冷蔵庫の中のものでなんとかなりそう。冷凍庫にご飯や食パン、野菜、冷凍食品等をストックしている方も多いでしょう。非常食の場合「買ったことすら忘れていた」「消費期限が大幅に過ぎていた」など、買ってみたのはよいものの、平常時にはその存在に注目することなく、破棄した経験のある方もいらっしゃるのでは?
「ローリングストック」は、日頃から非常食も食事に取り入れ、食べた分を買い足すという行為を繰り返して、家庭に常に新しい(消費期限が近くない)非常食を備蓄する方法です。
非常時だけの特別なメニューではなく、日頃から食べているものとそんなに変わらない食事ができる安心感にもつながります。また、平常時にレシピなどを工夫しておくのも、災害時に役立つ情報になるでしょう。
具体的な食品…まずは水。食材はインスタントラーメンやパスタ類、乾麺、缶詰、レトルト食品(味噌汁やスープなど)、ドライフルーツ、お米・お餅、菓子類など、目に付くもので活用できそうなものがいくらでもあります。
インフラがストップした時の強い味方
大きな災害で、支援物資がこないまま1週間過ごすことを想定すると「カセットコンロ」は、かなり重要なアイテムです。
取材に伺った方、ボランティアで被災地を訪れた際に伺った声の中「やっと温かいものが食べられたときは本当に嬉しかった、生き返った心地がした」とおっしゃっていました。
例えばストックしているレトルト食品、そのままでも食べられなくはないかもしれませんが、ちゃんと温めて(適温で)いただくことができると、美味しいと感じられるでしょうし、寒い時期には身体も温まります。カセットコンロを鍋料理などの際に使うご家庭は多いと思いますが、カセットボンベも多めにストックしておくようにしましょう。
次回は、生きていく上で最も重要な「水」の備蓄についてお伝えします。
防災士・アール