クマに襲われた!スズメバチに気をつけて!蛇が住宅街に…などなど、危険な生き物や、被害の報告をいたるところで目にし、耳にします。今年はマダニによる被害も報告され、注目を集めました。
ですが、世界中で最も人類の脅威となっているのは「蚊」だということをご存知でしょうか?
2019年の「蚊」情報は、先日都内で行われた東京都主催による「蚊対策」講習会のレポートとしてお届けしたいと思います。
2015年、人類を最も「殺した」のは、蛇(60,000件)やライオン(100件)、サシガメ(8,000件)などを大きく引き離す圧倒的な数字・830,000件で「蚊」がトップに。これはアフリカで発生したマラリアによる死亡者数が大半を占めているそうですが、日本でも話題になったデング熱の推定年間患者数は3億9000万人にも及び、その割合は全人類の10%にもなるとか。
「蚊」に、なぜそんな力があるのでしょうか? いったいどんな武器を持っているのでしょう? それは「蚊は感染症を媒介する」から、なんです。
2014年、東京都渋谷区の代々木公園で蚊に刺されデング熱に感染した人が確認されて、大きな話題となりました。この方は渡航経験がなく、明らかに「日本で」感染したということで、代々木公園の蚊を採取して検査した結果、ウイルスが確認され公園は閉鎖、駆除が行われました。
<デング熱の症状>
・熱・頭痛・節々の痛み・筋肉痛など
・5〜7日間、発熱が続く
・下痢
・発疹
・出血(鼻血・吐血・下血・皮下出血など)
日本でのデング熱報告数は、多少の変動はあるものの、年々増加傾向にあります。デング熱に限らず、蚊の媒介による感染症が広がる原因として
・気候変動
・ヒトや物資の移動
が挙げられています。渡航者数は増え続け、2018年には1,900万人もの日本人が海外へ、3,010万人もの人が海外から日本へ、合計4,900万人もの人が日本と海外を行き来していることになります。
また、温暖化によって蚊の活動範囲が広がり、1950年代には上限が栃木県北部~福島県南部が北限だったヒトスジシマカの分布域が、2009年以降は岩手県中部の盛岡でも確認されています。
ヒトや物資の移動は今後もますます増え続けることが予想されており、温暖化によって蚊の活動期間も延長され、さらなる注意が必要です。
これからますます蚊の活動が活発になります。具体的な対策については次回お伝えしたいと思います。
参考
「感染症を媒介する蚊対策講習会」(東京都)
「蚊が媒介する感染症」(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 忽那賢志 氏
(アール)