九州北部で短時間のうちに記録的な大雨が降り、記録の更新もされました。西日本の各地域でも大雨情報や土砂災害警報が発令されるなど、この週末に多くの雨が日本列島に降り注ぎました。
たくさんの雨が土地にしみ込んだ状態は、土砂崩れの危険性が高く、たとえ今雨が降っていなくても十分な注意が必要です。7月22日 9:30 時点、福岡県・佐賀県・熊本県・大分県で土砂災害警戒レベル4の地域もありますので、近辺の方はくれぐれも注意してください。
◆「警戒レベル」
令和元年5月29日から「警戒レベル」の運用が始まりました。大雨による災害を未然に防ぐため、それ以前に運用されていた気象警報や避難勧告などを、よりわかりやすく5段階にレベル分けしたものです。今回はこの「警戒レベル」について、知っておくべき大切なことをピックアップします。
(警戒レベルに関するチラシ 画像:内閣府防災情報のページより)
「警戒レベル」運用の背景には、平成30年7月豪雨の際、各地で多くの警報や注意報、避難勧告などが発令されたにも関わらず、住民の避難が遅れたり、避難行動に至らなかったケースがとても多く、防災気象情報をより一層活用しやすくすること、各種の防災情報を効果的にわかりやすくシンプルに伝えることを目的としたものです。
◆雨量の予報から災害危険度の予報へ…。(概要)
※「危険度分布」とは「雨の情報を、災害の危険度に翻訳したもの」
・雨量のデータから、各地の都市化率・傾斜・地質なども考慮して、災害発生の危険度(指数)を算出。
・過去約25年分の災害データを用いて、過去の重大な災害発生時に匹敵する基準を設定。
・この基準を超えた領域(マップ上の濃い紫色の範囲)では、すでに過去の重大な災害発生時に匹敵する状況であることを示します。
・この基準を間も無く超えそうな領域(うす紫色の範囲)においては速やかに避難。
つまり「濃い紫」になっていると「すでに災害が起きている」=「間に合わない」ということです。「うす紫と「濃い紫」について、どのように理解すれば良いでしょうか。
避難開始の必要性を伝える「土砂災害警戒情報」についても、情報が発表されて防災機関や住民に伝わって避難行動がとられるまでに必要とされる時間(2時間)を確保するよう、2時間先までに基準に到達すると予想された時点で発表することになっています。
具体的な例として「平成30年7月豪雨」の洪水事例(広島市安芸区矢野)を共有します。
<18時30分(赤=警戒)>
3時間先までの見通し(予報)として、危険度分布には「赤」が出現しており、まもなく重大な災害となる可能性がある。
<19時30分(うす紫=非常に危険)>
道路を濁った水が流れ始めた程度で、まだ徒歩での避難も可能な状況。しかし、危険度分布には「うす紫」が出現しており、まもなく重大な災害となる可能性が高い。
<20時30分(濃い紫=極めて危険)>
「濃い紫」が出現した矢野川が氾濫。道路が川のようになり、車も流されている。このように「濃い紫」が出現してからでは、避難が困難となる恐れがある。
くれぐれも「濃い紫=レベル5」を待ってはいけません。
警戒レベル4相当情報が発表されていても、市町村が避難勧告や避難指示(緊急)を発令していない可能性もあります。市町村は、気象庁などが発表する防災気象情報のほか、さまざまな情報を踏まえて避難情報を発令するため、同じ警戒レベルの防災気象情報と避難情報が発令されるタイミングが、必ずしも同時になるとは限りません。
防災気象情報は、多くの場合市町村が発令する避難情報よりも先に発表されるもので、この防災気象情報を元に住民が自主的に避難することが期待されます。
「待ってから」ではなく、自主的な避難がとても大事です。「自分の命は自分で守る」をひとりひとりが意識しあっていくことが望ましいのです。避難の際には大切な人にも声をかけ一緒に避難してください。
(アール)