見えないくらい小さいけれど人を死に至らしめる可能性も!吸血鬼・マダニの恐怖!

20195月、マダニに噛まれて感染症「日本紅斑(こうはん)熱」を発症し死亡した女性、都内で「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で重体になった男性のニュースが相次いで報道されました。都内でこの感染症が確認されたのは初のことで、テレビなどでも警戒を促していました。

ほんの数ミリの小さな身体で、人を死に至らしめるとは・・・いわゆる「ダニ」のイメージから「死」と関連付けて考えるのは少し難しいかもしれませんが、蚊やマダニなどの「吸血する昆虫」は感染症の媒介となるケースがあり、注意が必要です。

マダニの活動が活発になる季節でもありますし、アウトドアやキャンプなど野外の活動やレジャーの機会も増える時期です。どのように気をつければよいか、また、マダニってどんな生き物なのか?について、専門家に教えていただきました。お話を伺ったのは害虫・害獣防除資機材の専門商社・鵬図(ほうと)商事株式会社・五十嵐さんです。

■血を吸う昆虫

マダニの活動期間は4月頃~10月下旬頃まで。昆虫ですので、活動が活発なのは25度前後の頃です。マダニは吸血をする昆虫で、野生の動物に寄生して吸血する。それが人についた場合人を吸血します。その中に感染症のウイルスを持ったマダニがいて、人に感染症を媒介する可能性があるわけです。

マダニは地面の落ち葉の間や、草などの葉の先端など、草むらにじっと待ち伏せしており、その近くを野生の動物が通ったら吸血するために飛び移る、という生態です。もともとダニ自体がウイルスを持っているのではなく、動物が持っているウイルスをダニが吸い、そのダニが人間を吸血した際にウイルスを移してしまう、と考えられています。

ただ、全部のマダニが感染症を持っているわけではありません。マダニは日本全国にいますが、過去にウイルスを持ったマダニが見つかったのは西日本が中心でした。東日本では発見されていないだけで、実際にはよくわからないというのが現状です。というのも、マダニを専門に研究している学者さんがいらっしゃらないんです。

ですが、どのマダニがウイルスを持っているか?なんて判断はできませんので、マダニ全体から身を守ることが必要になります。

■マダニの被害が増えている!?

イノシシやシカの個体数が増えているのと比例して、マダニも増えている可能性がありますし、最近ではペットによってマダニが移動している可能性も考えられます。というのも、例えば旅行やアウトドアなど、ペットを遠方の草むらで遊ばせた際にウイルスを持ったマダニがついてしまう可能性です。例えばそのイヌが散歩の際に近所の公園で草などの葉っぱに運んでしまうことになったり、ドッグランで他のイヌに移すことも考えられます。ただ、先ほどもお話しましたが、ダニの研究をしている人がいないので、今のところはまだ「可能性」の範囲です。

■動物園のチーターもマダニに殺された!

2017年の夏、広島市安佐動物公園でチーター2頭が相次いで死亡しましたが、その2頭ともマダニに噛まれ「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症していたことが原因でした。山にとても近い立地で、イノシシやタヌキなどの野生動物がウイルスを持ったマダニを運んできたのではないか、ということでした。


チーターもマダニに殺されてしまうなんて!(ちなみにネコ科の動物は感染症を発症するそうで、今のところイヌの感染は確認されていないそうです。)

わずか数ミリの生き物のせいで人間が死に至る・・考えただけでも恐ろしいですよね。次回はマダニ対策についてお聞きしたいと思います。

取材協力:鵬図商事株式会社

(アール)

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