足掛け数十年、世界有数の天体望遠鏡のコラボレーションによって実現した「ブラックホールの可視化」。宇宙の謎を解き明かすニュースが発表され、天文ファンならずとも多くの人が注目し、今後の更なる解明へ期待が寄せられました。平成から令和に静かに移りゆくというよりは、時代の変化や技術の進化を確実に実感しつつ、新元号を迎えることになりそうです。そんな平成から令和へのカウントダウンが1週間を切る4月23日、平成最後の流星群「4月こと座流星群」がピークを迎えます。
■日本と世界のこと座ストーリー
こと座の中で一番明るいベガは、日本では七夕の「おりひめ星」として親しまれています。七夕の伝説はご周知のとおり。年に一度、天の川をはさんで「ひこ星」と出会うことが許されている、切ないストーリー。海外ではどのように語られているか?というと、ギリシャ神話でも結構悲しい物語のようです。
琴を演奏する音楽家のオルフェウスが主人公。彼は美しい女性と結婚するのですが、幸せの絶頂期、その妻が毒蛇に噛まれて短い一生を終えてしまいます。悲しみにくれるオルフェウスは琴を携えて冥界に行き、琴を演奏し困難を乗り越え、妻を取り戻すことができました。が、条件がひとつ。「地上に出るまで、決して妻のほうを振り返ってはいけない」こと。オルフェウスは妻の手を引き地上に向かって歩くのですが、出口が見えたそのときうっかり振り返ってしまうのです。妻を連れ戻すことができなかったオルフェウスは、死んで(自殺とも他殺とも説があるようです)琴とともに川へ…。それを哀れに思った最高神・ゼウスが琴を拾い上げて星座にしました。
日本の民話・神話などでも「見たらダメ」という条件がついている話は、他にもありますよね。『鶴の恩返し』もそうですし、イザナギの神話も「振り返ってみたらダメ」でした。
■振り返るのは平成?それとも・・・
平成最後のあと数日間、平成を振り返りつつ、あんな事やこんな事を思い出してしまいそうですね。流れ星に「新元号」を迎えた後の幸運を祈りたいところですが、満月のすぐ後であること、ピークの時間が日の出後の9時頃であることから、条件はかなりよくないんです。残念!でも、ご安心を。令和になってすぐ、5月3日には「みずがめ座流星群」がピークを迎えます。この情報についてはまた書かせていただきますね!
(アール)