特集【東日本大震災】自分の問題だけじゃない!住まいの耐震化

「今後30年間に70%の確率で大地震が発生する」とかなり具体的な数字が発表され、国内で震度5弱以上の地震が頻発。いつ、また大きな地震がどこで発生するかわからない・・・。いま、備えるべきことはどのようなことか、なにをどこまでやれるのか。前回(【3.11特集】私の家は大丈夫? 住まいの「耐震化」が命を守る)に続き「家の耐震化」にスポットを当て、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の関さん・伊藤さんにお話を伺います。

■耐震化が進まない理由は?

政府は2020年までに全国の住宅耐震化率を95%にすることを目指していますが、首都圏直下地震が起きた際、建物倒壊による想定死者数の60%を占めるとされている東京都内でさえ、住宅の耐震化率が90%以上進んでいるのは62市区町村のうちたった4市区のみなんです。

築50年、60年と経過してくると、住んでいる方も高齢の方が多いです。「家を継いでくれる人もいない、自分達だけなのでもういい(諦める)」とおっしゃる方も多いです。耐震診断の申込みだけで実際には補強工事に至らない場合もあります。悪いということはわかっているけれど、それが数字でハッキリしてしまうと恐怖なので、という理由でキャンセルされる場合も少なくありません。

■「耐震化」は自分のため、のみならず。

いつ、どこで起きるかわからないのが地震です。阪神淡路大震災は早朝5時46分に発生し被災者の多くの方がまだ就寝している時間でした。時間だけではなく、例えば娘さんや息子さん、お孫さんがお正月や夏休みなどで帰省しているときに起きてしまうかもしれないですよね。「耐震化されていない家に住んでいる」と心配になり、せっかくの時間を楽しめなくなるかも知れませんし、「里帰り」の足が遠のいてしまうことにもなりかねません。また、大きな地震が発生した後に無事の確認に行けないことが、心的ストレスの原因になることも。「自分たちはもう年寄りだから・・・」ではなく、家族のための耐震化でもあると考えていただけたらと思います。

また、自宅の倒壊によって近所に迷惑をかけることもあります。それが原因で、近所の方に万が一の事があったら・・・大変ですよね。けれど、補助金の制度があってもなかなか耐震化が進まないのが現状です。
前回もお話しさせていただきましたが「関連死」の問題もあります。「家が倒壊しない」ことは、ご家族とご自身の生命を、直接的にも間接的にも守ってくれます。

■まずは「診断」を!

診断では、間取り・家の形状、小屋浦(屋根裏)、水まわり、基礎、床下、建物の外側、周辺など、専門器具なども使ってチェックします。その結果から、どの部分をどのようにすればよいか具体的な提案もできます。補助金の制度もありますし、改築、建て替え、住み替えなど、選択肢もいくつかあると思いますが、とにかくまずは「診断」です。住まいがどんな状態なのか、現状を調べていただくことをお勧めします。


災害で家が倒れたり壊れたりしない、というのは、自分の命や財産だけでなく、大切な人を守ることにもなる・・・確かにそうですね。耐震化が十分でない家は、大きな揺れがくるたびに恐怖に駆られる、実家の両親が心配になる、ストレスと不安要素は限りなく増えていきます。
「震災の備え」といえば、備蓄食品や避難バッグなどに意識がいってしまいがちですが、ご自身や家族、大切な人が住んでいる「家」にも意識を向ける必要もありそうです。木耐協・関さん、伊藤さん、ありがとうございました。

取材協力:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)

(アール)

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