気象庁(当時は東京気象台)が天気予報の発表を開始したのは、1884年6月1日のこと。天気予報が一般に浸透するのは、ラジオでの発表が開始された1925年3月22日以降でしょう。それよりも前、先人たちは観天望気により天気を予想していました。
観天望気にはどのようなものがある?
観天望気とは、自然現象や動植物の様子などを観察することで、当日や翌日の天気を予想すること。現在のように気象衛星などを使用するわけではなく、目視により判断するため、長期的な天気の変化は分かりませんが、短期的な天気の変化には有用だと言われています。
古来よりさまざまな観天望気が使用されており、それらの中には全国共通のものもあれば、地域限定のものもあります。もちろん、現在に伝えられているものも少なくありません。全国共通の観天望気のうち「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」「アマガエルが鳴くと雨」「茶碗の飯粒が綺麗に取れると雨」「嵐の前の静けさ」などは、聞いたことがある方も多いでしょう。単なる言い伝えでしょ、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、「夕焼けは晴れ」の場合。夕焼けが見られるときは、雲を作る元となる水蒸気が少ないとき。そして一般的に、天気は西から変化するため、夕焼けが見られるとき、翌日は晴れ!というようにそれぞれ科学的根拠で説明ができるものも多いのです。(ただし、この例の場合、天気が西から東に変化しないような気象条件の場合は当てはまらないなど、例外もありますが‥。)
天気予報の精度が向上した現在、すでに観天望気は役目を終えたと思うかもしれません。しかしそんなことはなく、特に漁業や林業に携わる方は、天気の急激な変化に対応するため、現在も観天望気を役立てています。
※参考資料
海上保安庁「海の言葉 海や船に関する用語について解説します。観天望気」
http://www.kaiho.mlit.go.jp/02kanku/yorozuya/yorozuya2014/yorozuya018-140210.pdf
海上保安庁「観天望気とは?」
http://www6.kaiho.mlit.go.jp/maizuru/anzen/kantenbouki/kantenbouki.htm
海上保安庁「讃岐地方の天気のことわざ“観天望気”」
http://www.kaiho.mlit.go.jp/06kanku/takamatsu/d_safety_navigation/d_16_kotowaza/d_16.html
日本山岳会「観天望気とことわざ」