気象庁の公式サイトで「季節現象」という言葉を検索すると、年間を通して使われそうな「用語」がたくさん掲載されています。日ごろ、よく耳にしている言葉も多くあり、それぞれ「○(無印)」「×」「△」で区分されているのですが、その意味についてご紹介したいと思います。
■使用区分は3種類
○(無印)…予報用語:気象庁が発表する各種の予報、注意報、警報、気象情報などに用いる用語
△…解説用語:気象庁が発表する報道発表資料、予報解説資料などに用いる用語
×…使用を控える用語
例えば「桜前線」。さくらの開花時期になるとこの言葉は目にも耳にもたくさん入ってきますが、なんと「×」。ただ「×」といっても、使用してはいけない、ではなく「使用を控える用語」と定義されていました。では「桜前線」という言葉は本来ならば何?というと「桜の開花日の等期日線」なんだそう。なるほど!でも、ちょっと硬い表現でやっぱり耳慣れていない感じがしますね。
この「用語」の中で、項目が多いのが「梅雨」に関する表現。ざっと並べるとこんな感じです。さて、それぞれ「○」「△」「×」どれになると思いますか?
梅雨のような天候・梅雨らしい・顕著な梅雨・入梅・梅雨寒・出梅・梅雨のはしり・梅雨入り(明け)の発表・梅雨の中休み・陽性の梅雨・陰性の梅雨・空梅雨・梅雨の戻り・梅雨・梅雨入り・梅雨明け
答えはこちら
×…梅雨のような天候・梅雨らしい・顕著な梅雨・入梅・梅雨寒・出梅
△…梅雨のはしり・梅雨入り(明け)の発表・梅雨の中休み・陽性の梅雨・陰性の梅雨・空梅雨・梅雨の戻り
○…梅雨・梅雨入り・梅雨明け
「梅雨らしい」が控えるべき用語とは、びっくりですね。意味が曖昧な用語に関しては、具体的に気温や降水量を示して用いる、とされています。確かに、ちゃんと意識して聞いていると具体的にどのように「梅雨らしい」のか、その根拠や理由をきちんと添えて表現されているかも!
ちなみに「梅雨」は、もともと中国の言葉で「梅雨(メイユー)」と呼ばれていて、江戸時代に日本へ伝わりました。
何故「梅雨(つゆ)」と呼ばれるようになったかについては諸説あり、梅の実が熟して潰す季節ということで「潰ゆ(つゆ)」、この時期のジメジメした陽気が食べ物をダメにする「費ゆ(ついゆ)」、露(つゆ)の発音をそのままあてた、など様々です。
北海道は、梅雨らしい現象が現われにくいため、梅雨入り・梅雨明けの対象とはなっていません。ただ、年によっては、本州の梅雨時期に2週間ほど雨や天気のぐずつきが続くことがあり、これを「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼んでいます。この「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」は、オホーツク海高気圧から吹き出す冷たく湿った空気によるもので、本州の梅雨とはメカニズムが異なります。
さーちゃんです。予報用語、ご存知でしたでしょうか?言葉はその時によって変わっていくものの、天気予報をお伝えする立場として特に気をつけなければ、と日々感じています。