奈良・東大寺の二月堂で行われる「お水取り」は、春の訪れを告げる風物詩として広く知られています。今年は3月12日深夜から13日未明にかけて、燃え盛る松明(たいまつ)が夜空を照らす荘厳な光景が繰り広げられます。この行事は、天平勝宝4年(752年)に東大寺の僧・実忠(じっちゅう)によって始められ、以来一度も途切れることなく続けられています。僧侶たちが二月堂にこもり、人々の罪を懺悔し、天下泰平や五穀豊穣を祈る法会であり、特に12日深夜には「お水取り」と呼ばれる神聖な儀式が行われます。まだ深い雪に埋もれる地域では、ひと月以上も先の話となりますが、お水取りが終わると「関西に春が来る」と言われます。過去のデータによれば、この時期の京阪神周辺の平均最高気温は13~14℃となっています。最高気温が14℃を超える日が多くなると、それは「春近し」のサイン、冬用コートを春物に替えるタイミングかもしれません。
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平均気温の傾向(3/1~3/28)
期間の初め(3/3~5)は関東や東北南部では冷たい雨あるいは雪が予想されています。その後は、一時的に冬型の気圧配置が強まる見込みです。中旬になると、移動性高気圧が周期的に本州や南海上を通過し、日本付近には暖かい空気が流れ込むようになるでしょう。北・東日本を中心に気温は平年より高めとなり、春めいた陽気の日が多くなる見込みです。
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降水量の傾向(3/1~3/28)
期間中は、天気が周期的に変化するでしょう。期間の初め(3/3~5)には、低気圧や前線を伴う深い気圧の谷が、本州付近を通過する見込みです。広い範囲で雨や雪が降り、関東・東海ではこの時期としては降水量が多くなる予想です。一方、沖縄・奄美は移動性高気圧に覆われる日が多くなる見込みで、降水量は平年に比べてやや少なくなるでしょう。
(気象予報士:ファーマー)