毎年、鹿児島県の出水(いずみ)平野にはシベリアから1万羽を超えるツルが飛来し、冬を越します。今年も10月中旬には、ナベヅルなど9羽が第一陣として到着しました。ちなみに「鶴」の文字は日本各地の地名や人名に頻繁に見られます。「鶴見」「真鶴」「鶴巻」「舞鶴」などがその代表例ですが、これらは鳥のツルではなく「川」に由来している場合が多いそうです。古来、川の流れは「水流(ツル)」と呼ばれており、これに「鶴」の文字があてられたことが、これらの地名の由来になっています。さて、昨日(7日)には、ツルたちが飛び立ったシベリアから強い寒気が流れ込み、各地で冬の訪れを感じさせる天気となりました。出水平野のツルの飛来数は順調なペースで増加しており、11月1日には早くも4000羽を超えたそうです。ツルたちの行動は今後の寒気の強まりを示唆していて、12月以降はいつもどおりの寒い冬に変化するのかもしれません。
11月中旬までは強い寒気の南下は予想されません。特に来週(17日頃まで)は、この時期としてはかなり暖かい空気に覆われるため、全国的に気温は平年よりも高くなる見込みです。なお、12月に入ると大陸から強い寒気が南下して、高温傾向から一転して例年通りの寒さとなる可能性があります。
周期的に移動性高気圧が日本海から北日本を進み、冬型気圧配置となることが例年よりも少ない見込みです。そのため日本海側では雪や雨が少なく、降水量は平年を下回る予想です。一方、西日本や東日本の太平洋側では高気圧の張り出しが北に偏るため、曇りや雨となる日が例年より多くなるでしょう。
(気象予報士:ファーマー)