江戸時代に「目に青葉、山ほととぎす、初鰹」と詠まれたカツオ。5月から6月にかけては、三陸沖まで餌を求めて北上した初鰹が市場に出回ります。夏が過ぎ、水温が下がると南下し始める鰹が「戻り鰹」で、なかでも高知では秋の味覚として親しまれます。三陸沖で豊富なプランクトンや小魚を食べ、脂がのった濃厚な味わいが魅力です。さて、猛暑となった今夏には、カツオ漁にある異変がありました。8月初旬の三陸沖での水揚げが例年を大きく上回ったのです。「暖水渦」と呼ばれる高温の海域が現れたことが原因で、餌が豊富なこの場所にカツオの群れが集まり、水揚げが増加しました。太平洋高気圧の勢力が強いため三陸沖の海水温は9月末の現在も平年より大幅に高く、カツオたちにとっては居心地のいい状態が続いています。秋の味覚として待ち遠しい「戻り鰹」ですが、ことしは三陸沖からの戻りのペースがゆっくりで、高知では「旬」の時期が少し遅れるかもしれません。
朝晩を中心に秋めいてきましたが、いぜん高温傾向が続く見通しです。期間前半は太平洋高気圧の勢力が本州付近に残って暖かい空気が入りやすく、平均気温は平年よりかなり高くなるでしょう。本格的な秋の深まりは10月中旬以降となる見込みです。
10月はじめにかけて、南海上を通過する低気圧や前線の影響により、沖縄・奄美や西日本、東日本の太平洋側で曇りや雨の日が例年よりも多くなる予想です。その後は南からの湿った空気の影響で天気が不安定な期間がありますが、下旬にかけては秋特有の周期的な変化をするようになる見込みです。
(気象予報士:ファーマー)