【天体観測】光速でも14年半に1度? 織姫と彦星の距離〜七夕

長引くコロナ禍で会いたい人にもなかなか会えない期間が続きます。ただ、今はパソコンやスマートフォンなどのデバイスを使い、様々なツールで画面越しに会うことが比較的簡単にできるようになりました。仕事で、プライベートで「オンライン」で誰かと繋がる機会も増えたのではないでしょうか。

「なかなか会えない」といえば、年に一度だけ、天の川をはさんで会うことを許された織姫と彦星のストーリー「七夕」。七夕は古来のお祭り行事で、一年間の重要な節句をあらわす五節句(※)のひとつです。
※五節句とは…七草の節句とされる人日(1月7日)、桃の節句・ひな祭りの上巳(3月3日)、端午(5月5日)は菖蒲の節句、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)は菊の節句。

ちなみに、七夕の始まりには諸説ありますが、以下3つの行事が融合したものといわれています。
(1)古くから日本の神事であった「棚機(たなばた)」
(2)織姫と彦星の伝説
(3)奈良時代に中国から伝来した「乞巧奠(きこうでん)」
「棚機」も「乞巧奠(きこうでん)」も、織物にまつわる昔の「神事」です。今は目にするのが難しいけれど、2番目の「織姫と彦星の伝説」だけはお天気が良ければ見ることができますよね。

さて、その織姫と彦星ですが、織姫はこと座1等星・ベガ、彦星はわし座の1等星・アルタイル。東の空に明るく輝く3つの星が夏の大三角(ベガ、アルタイル、デネブを結んだ三角)を作っていますので、これを目印に夜空を見上げてください。
宵の空ならベガ(=織姫)が一番上、右下がアルタイル(=彦星)になります。街灯りなどに邪魔されないかなり暗い場所では、この2つの星の間に天の川が横たわっている様子を観察できると思います。

画像:国立天文台HP

現実的なことをいうと、星が実際に移動することはありませんし、この2つの星は14.4光年離れています。つまり光のスピードでも14年以上かかってしまうほどですので1年に1回も会える距離ではないですね。…とはいえ、せっかくなので七夕には少しでもロマンチックな気持ちになるのもよし、日頃なかなか会えない人に連絡してみるのもよし、五節句を楽しんでいただきたく思います。気になる当日の天気はライフレンジャーでこまめにチェックしてくださいね。

(コラム担当:F)

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