よく耳にする「免疫力」ってそもそもなに?

コロナ禍のみならず、以前からもよく耳にする「免疫力」について整理してみたいと思います。「免疫」とは私たち人間に備わっている、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る仕組みのこと、この力を「免疫力」と呼びます。

免疫のシステムには「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
自然免疫…体内に侵入した異物をすぐに排除する
獲得免疫…体内に侵入した異物の情報をリンパ球が認識してから、特定の的に対して集中攻撃をかける

それぞれの特徴をまとめた表がこちらです

自然免疫は、生物が生まれつき持っている機能です。生命を維持するために、異物・侵入者(細菌やウイルス)に対してすぐに総攻撃を開始し、排除する働きをします。

・好中球…自然免疫の中心的な細胞。血液の中で循環、もしくは血管の内壁に付着しています。骨髄液中には、血管に存在する(80〜500億個)好中球の10〜30倍のすごい数の好中球が緊急事態に備えています。細菌やウイルスと遭遇した好中球は、それらを食べて殺菌します。この働きを「貪食(どんしょく)」と呼びます。貪食した好中球は役目を終えて死にますが、これをマクロファージという別の細胞が食べて処理することによって炎症が収まっていきます。
・NK細胞…NKとはNatural Killer(ナチュラルキラー)のこと。NK細胞は、内部で生まれた異常な細胞(がん細胞など)を殺す役目を担っています。
・マクロファージ…マクロは大きい・長い、ファージは食べるもの・細胞を破壊する細胞、という意味です。細菌やウイルスなどの病原体だけでなく、役目を終えた免疫細胞の死骸・残骸などを貪食して処理します。また、マクロファージはこの働きのほかに、異物が侵入してきたことを他の免疫細胞に知らせる「抗原提示」の役割も担っています。これは全身の免疫細胞達が異物に対して働く態勢になるきっかけとなるとても重要な役目です。

獲得免疫は、自然免疫とは異なり、出生後になんらかの病原体と接触する機会があった際、同じ病原体に2度目に感染しても発病しないようにするしくみのことです。侵入してきた外敵と戦うことと、特殊な機能をもつ「記憶細胞」に変化し、過去の敵を記憶する役割を担います。

・T細胞…免疫の司令塔として活躍します。「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「サプレッサーT細胞」の3種類があります。ヘルパーT細胞はマクロファージから病原体の侵入を知らせる「抗原提示」があると、B細胞(下記参照)に抗体を作らせる命令を出し、キラーT細胞に敵を殺す指令を出します。サプレッサーT細胞は、ヘルパーT細胞とキラーT細胞が暴走しない監視役を担っています。
・B細胞…体内を循環し、侵入してきた病原体など(抗原)を発見したら毒素を無毒化したり、害となる機能を破壊する物質(抗体)を作り出す役目があります。敵を認識し、防御作用が働くことを「抗原抗体反応」と呼びます。B細胞は抗体を温存することができ、再度攻撃を受けると素早く対応できるように準備します。攻撃してくる敵を記憶する役割を担うB細胞は「メモリーB細胞」と呼びます。

こんな機能が生まれつき備わっているとは、つくづく生物ってすごいなと思いますが、せっかく生まれ持ってきたこの機能にフル活動してもらうためには、私たちも体に協力をするほうが良さそうです。次回は免疫力をバックアップできる=高める食事のポイントについてお伝えします。

(健康管理士:R)

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