中秋の名月、そして満月を迎え、月を愛でた次に注目していただきたいのが、火星です。太陽の周りを地球より外側で公転している惑星の火星は、約780日(2年2ヶ月)の周期で地球に近づきます。最も近くなるのは10月6日で、このとき、火星と地球の距離は約6207万km。前回(2018年7月31日)ほどではないけれど、火星の明るさはマイナス2.6等となり、木星よりも明るく見えやすくなります。もちろん、この日だけではなく、最接近前後の数週間は地球と火星との距離はそれほど変わりませんので、しばらくの間は大きく光る火星を楽しむことができそうです。
上の図は、2016年から2035年までの火星最接近を示したものです(出典:国立天文台HP)。
ほぼ円形で公転している地球とは違い、火星の軌道は楕円形です。地球と火星の会合周期がちょうど2年だとすれば、毎回同じ日に同じ位置でほぼ同じ距離で最接近するはずですが、約2カ月のズレ(端数)があるので、距離や位置などが異なります。2018年のように最も近い位置での接近を「大接近」と呼びます。これは15〜17年に一度起こりますが、今回はそれより少し距離があるようです。
火星は地球と同じように岩石でできた惑星で、大きさ(直径)は地球の半分ほど。赤く見えるのは、火星の表面を覆っている岩石や砂が酸化鉄(赤いさび)をたくさん含んでいるためです。面白いのは、火星は自転軸が傾いているため、季節変化があるということ。季節によっては北極と南極の白い部分の大きさが変化します。
火星の接近は2年2カ月程度の周期で起こりますので、そんなに珍しいことではありませんが、でも!夜空にピンク色の輝きを見つけることができたら、ちょっと幸せな気持ちになれそう…。
最接近の10月6日よりも、その後の期間の方が火星が昇ってくる時間が早くなりますので、比較的早い時間から観察できるようになります。火星の見ごろは11月末頃まで続きますので、是非、空を見上げて星を楽しむ時間を作ってみてくださいね。
(コラム担当・F)