年間で80万人以上もの命を奪っている「蚊」の対策、お早めに!

風が吹けば飛ばされてしまうような弱々しいサイズ感、手で簡単に始末することができる「蚊」ですが、実は世界で80万人を超える人の命を奪っていることをご存知でしょうか。今年は5月前半にして夏日になっており、蚊の活動も活発になっています。蚊が人を殺す原因になるのは、病原菌を媒介するから。少しでも蚊から身を守るためにはどのようにすればよいか、具体策についてポイントをまとめてみたいと思います。


蚊の防除の目的と目標について

緊急時 <感染症の蔓延防止>

すでに成虫になっている媒介蚊に刺されない
(身の回りや活動している場所など、決めた範囲から駆除する)
手際の良い効果的な防除を早い時期にする

▼防除剤に使われている成分
・ディート
世界で最も使用されている
濃度12%以上で3~4時間持続
※6ヶ月未満乳児は使用不可など、年齢や使用回数、または濃度によって使用制限あり
※ 衣類に使用すると変色変形の場合あり

・イカリジン
年齢・回数に制限なく、衣類にも使用できる
※ 濃度15%で6〜8時間持続、濃度5%で6時間程度持続

▼剤型と特徴
・エアゾール:すばやく手の届かない部分に使用できる
・ミスト:飛び散りが少ない
・ローション:飛び散りがほとんどない・低刺激性
・ジェル:飛び散りがほとんどない・低刺激性
・ティッシュ:携帯に便利・ムラなく塗りやすい・子どもでも使いやすい

※ 使用方法をよく読んで正しく使う
※ エアゾールやミストなどの場合は、スプレーした後に手で塗り広げると効果的
※ 顔や首筋には、ローションやジェル、ティッシュタイプなどが使いやすい
※ 医療品・防除用医薬部外品を使用する
※ 首筋や耳も忘れずに塗布する
※ ムラなく塗り広げる
※ 2〜3時間おきに塗り直す
※ 顔に塗るときは一度手に取ってから塗布する
※ 虫除け剤は日焼け止めの上に

虫除け剤の成分が蒸発することで蚊の感覚を麻痺させ、どこを刺して良いかわからなくさせます。虫除け剤を塗布していても蚊は周りで飛びますし、薄い衣類の上から刺されることもありますので、衣服にも塗布しましょう。衣服に塗布する場合は変色変質しないイカリジンがおすすめです。

平常時 <感染症の発生防止(予防)>

蚊を減らす=発生の防止に務める
環境や生物への負荷を最小限に止める配慮をもちながら、日頃から発生源をなくす習慣を身につける

・幼虫のうちに退治すると駆除がしやすい!
成虫になると飛び回りますが、幼虫の場合は生息場所が水たまりと決まっており、範囲が狭く対処がしやすくなります。蚊は、卵~幼虫(ボウフラ)~サナギ~成虫の段階がありますが、ボウフラの時期はだいたい1週間程度なので、毎週1日対策デーなどを設けて習慣づけしましょう。
・蚊は小さな水たまりが大好きです。それもきれいな水ではなく、落ち葉などが沈んでいる「栄養分のある水たまり」が。卵が産み付けられると、水がなくても乾燥に耐えて、次の水分を待つことができます。家の周りから徹底的に、蚊の産卵適所を排除しましょう!

図の中で、赤枠の部分は「ボウフラ(蚊の幼虫)」が発生しやすい場所、黄枠は「蚊の成虫」が発生しやすい場所です。特に赤枠の部分に関しては・庭木の手入れ・落ち葉の排除・水が溜まる場所を排除 を徹底し、蚊の発生を抑制しましょう!

小さな水たまりができやすくなる梅雨に入る前に、家の周りやベランダなどをチェック!身の回りから蚊を排除し、増えない工夫を今からすることが、最大の防除となります。蚊を減らし、蚊による感染症の媒介リスクをとことん軽減する努力をしておきましょう。

参考

「感染症を媒介する蚊対策講習会」(東京都)
「蚊の生態」(一般財団法人 日本環境衛生センター 東日本局 武藤敦彦氏)
「蚊の防除」(日本防疫殺虫剤協会 足立雅也氏)

(アール)

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