天気や気象を表現する言葉については、いわゆる気象庁が天気予報などで使う「予報用語」と、予報用語ではないけれど、ニュースなどの放送で使われる表現、あるいは小説や歌詞などで生み出されている言葉など、いくつかの種類があります。
気象庁の予報用語については、各種メディアからさまざまな形で提供される天気予報などが、誰にでも正確に伝わるように定めている、とのこと。以下の4つの観点から決められているようです。気象庁HPより引用・抜粋します。
1 「明確さ」
情報の受け手に正確に伝わるように意味の明確な用語を用いることにしています。
ただし、予報用語の「明確さ」のなかには、技術的な限界を超えてまで時間や場所を特定するのではなく、予報の持つ「不確かさ」を一定のルールに基づいて表現するという意味も含めています(所により、一時、時々など)。
2 「平易さ」
天気予報などは広く一般の人を対象として発表していますので、専門的な用語は最小限とし、誰にでも理解できるような用語を選択するようにしています。
3 「聞き取りやすさ」
気象に関する情報は活字として伝達されるばかりではなく、ラジオ・テレビなど音声でも提供されます。文字では一目瞭然な用語でも、音声にすると意味を取り違えたり、わかりにくくなったりするものがあるため、音声で伝えることも意識した用語を用いるようにしています。
4 「時代への適応」
本来、用語は時代とともに変化し、時代の求めに応じて新しい用語が生まれます。時代に適応しなくなったものは予報用語としては不適当です。予報用語の選択にあたっては、固定的にとらえずに、社会一般の言語感覚と遊離しないようにしています。
このような観点から定めた予報用語のうち、特に日々の天気予報、注意報・警報などによく使われているものを示します。
これらを参考にして、天気予報などをより有効に利用していただきますようお願いします。
なるほど、時代の適応もされているんですね!例えばテレビなどで、わかりやすい絵が描いてあるボードを使ったりしていると、目から入ってくる情報もあって、音声だけよりも理解がしやすいということもあるでしょう。今回は予報用語に限らず、天気を表現する言葉がたくさんあることに注目してみたいと思います。
■「晴れ」の表現
「五月晴れ」(さつきばれ)
以前は「梅雨時期の合間の晴天」を意味していましたが、現在は「5月のすがすがしい晴天」を表現する言葉としても使われています。もともと「五月=さつき」は陰暦5月(現在の6月)の呼び名です。
「日本晴れ」(にほんばれ)
雲ひとつ無く晴れ渡った空を表現する言葉です。雲がまるでない空一面真っ青!という瞬間、気持ちよさそうですよね。
「清和」(せいわ)
陰暦4月1日の異名。晴れてのどかな様子、なごやかなこと。ちなみに858年10月7日に大56代天皇として在位された天皇は「清和天皇」でした。
「炎天」(えんてん)
文字を見ただけで「猛暑」を思い浮かべてしまいそうですが、夏の日差しが強く、焼き付けるような空を表現する言葉です。「かんかん照り」(かんかんでり)なども同じような状態を表している言葉ですね。
■「快晴」と「晴れ」は、どう見分けるの?
さて、晴れの表現をいくつかご紹介したところで質問です。「快晴」と「晴れ」の違いってなんだかご存知でしょうか? それはズバリ!「雲の割合」です。空全体を見回した時に雲がどれくらい見えるか?ということで、予報官が目で確認をしているとのこと。ちなみに空を10としたとき、雲の量が0~1程度(1割以下)が「快晴」、2~8程度が「晴れ」。えっ!8割程度も雲があるのに「晴れ」?とはちょっと驚きですが、ちなみに「曇り」とは9割以上があって太陽も殆ど隠れてしまっている状態のこと、だそう。じゃあ「日が射す(ひがさす)」は?というと、雲の量が9割以上の「曇り」で青空が見える状態と定義されています。
空の表現、いかがでしたか?「誰にでも正確に伝わる」ことを目的とした定義に、感覚的にはちょっと違和感を感じる部分があるかもしれませんが、天気予報を聞いたり見たりしたときに空を見上げるキッカケにしていただけたらと思います。
参考:気象庁HP
(アール)