【暦のコト】ストンと日が暮れて、夜空に美しい月が光る頃、聞こえてくるのは…

10月7日から暦の上では「寒露(かんろ)」に入ります。大気が冷えてきて草木に冷たい露が宿る季節のことです。この時期には七十二候でも「雁が来る」「菊の花が咲く」「キリギリスが戸口で鳴く」など、寒くなってきたら見かけるものが一気に目に入ってくる様子が表現されています。

■怠け者って言わないで!

キリギリス、と言えばすぐ頭に浮かぶのは、昔読んだ絵本…働き者のアリと怠け者のキリギリスが登場し、冬の備えを充分にしていなかった怠け者のキリギリスは寒さに凍えて辛い思いをする、なんてことになっていましたよね。キリギリスが戸口の辺りで鳴く、というのは暗くなるのが早くなったこの時期、家の明かりに虫が寄ってきて「玄関先」で目にするイメージでしょうか。あれ?キリギリスってどんな鳴き声だったっけ?「ギーッチョン、ギーッチョンチョン」…機(はた)を織るときの音に似ていることから、別名「機織虫(はたおりむし)」とも呼ばれるそうですよ。

■虫が鳴く適温っていつ?

童謡「虫のこえ」にも多くの「鳴く虫」たちが出てきますが、虫はなぜ鳴くのでしょう?鳴く虫たちにとって「鳴く」ことは、子孫を残すための重要な行為。オスがメスをひきつけるためのものなんだそう。「いい季節になったね、恋をしよう、結婚しようよ~~」(ちょっと言葉がカンタン過ぎますが)とメスを誘って歌っているのです。と書くと、少し軽い感じになってしまいますが、虫にとっては死活問題の命がけ!ここで子孫を残せないと絶滅してしまう危惧が。ただ、虫が鳴くのも適温があって、一番活動しやすいのは24~26度。これより暑すぎても寒すぎても良くないそうです。鳴けないとなると子孫繁栄に悪影響。近年の温暖化は、ヒトだけではなく虫たちにとっても深刻な問題です。

■たまには虫の声にも耳を傾けて

キリギリスだけでなく、秋に鳴く虫はたくさんいます。スズムシ、コオロギ、クツワムシ、ウマオイ、マツムシ…中でもスズムシの鳴き声は大人気。リーンリーンという涼やかな声は癒し効果もあるといわれ、スズムシを購入して飼う人も多いようです。秋の虫たちの声に癒されるべく耳を澄ましてみるのもよいかもしれませんね。


こんにちは、アールです。リーンリーンと鳴くスズムシの声…風流だな~なんて聞いていましたが、そんな切実な事情があったとは。虫たちも必死なんですね。虫が苦手な方も多いと思いますが、食物連鎖や生態のバランスにとって、虫も大事な存在。地球の環境がこれ以上悪くならないことを願うばかりです。

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